子育て世代は、子供の教育資金やマイホーム資金などの貯蓄に気を取られ、自分たちの老後のための資金作りは後回しにしがち。しかし、先送りにばかりしていては、いつまでたっても老後資金はたまらない。そこで今回は、ファイナンシャル・プランナーの内田まどかさんに老後の資金作りについて教えていただく。

毎月5万円ほどが貯金から消えていく

ゆとりある老後生活に必要な費用は、夫婦で月に35.4万円――。

よく目にするこの金額は、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によるものです。この調査は18歳から69歳までの人が調査対象になっているので、実態とは少し異なります。いわば「理想の金額」。現状を知るには総務省の家計調査が便利です。

平成24年の家計調査を見てみると、高齢無職世帯の平均支出額は20万5,629円 / 月。収入は18万1028円、うち15万7785円が公的年金などの社会保障からの給付です。つまり、社会保障給付から支出を引いた差額、4万7844円が自分で準備する金額ということです。

現在65歳の夫婦が平均余命まで生きたとしたら、いくら必要になるのでしょうか(65歳の平均余命 男性18.89年、女性23.82年 平成24年簡易生命表より)。

夫婦共に65歳で、共に生きる期間が19年間。その間に準備しておく金額は1090万8432円。妻がひとりで生きる5年間に準備が必要な額は174万4680円。合計すると、準備が必要な資金は1265万3112円です。しかし平均年齢以上に生きる人も多いですから、この金額は最低金額と思っておきましょう。

最近は継続雇用制度が整いつつあるので65歳からのシミュレーションにしましたが、60歳で仕事をやめる人や自営業の人であれば準備はもっと必要です。年金のもらえない時期もありますので、いつから年金がもらえるのか確認をしておきましょう。

自営業の人は国民年金だけなので、上記と同じ条件で約2200万円準備が必要になります。あなたはいくら準備が必要でしょうか。ちょっと面倒ですが、計算をしてみましょう。

当たり前のことですが、老後の生活は老後に蓄えることができません。一度きちんと計算をして、将来に備えましょう。