現在、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手キャリア3社が取り扱うiPhone 5s/5c。iPhoneがトラブルに見舞われたときの補償について、違いはあるのだろうか。比較してみたので紹介しよう。

iPhone 5s(左)とiPhone 5c

提供されるサービスを比較

まず、iPhoneを製造しているAppleのサービスをおさらいしておこう。同社では「AppleCare+」を提供する。これは保証期間を2年間に延長し、修理代金を上限7800円のサービス価格に引き下げるものだ。2年間で2回まで利用できる。補償範囲は「自然故障」「破損・水濡れ」で、「全損・盗難・紛失」の場合は、端末の再購入が必要となる。また3年目以降はユーザーの実費負担となる。利用料金は、2年あたり9800円の月々払いとなる。

iPhoneの取り扱い期間が一番長いソフトバンクでは「安心保証パック」を提供している。これはAppleで修理した代金を補填するサービスで、修理代金の85%または90%が還元される(月々の利用料金から割り引かれる)。補償範囲は「自然故障」「破損・水濡れ」で、「全損・盗難・紛失」の場合は、会員価格で機種変更する必要がある。3年目以降も利用できる。利用料金は、AppleCare+との併用で月額525円。

KDDI(au)では「紛失保証オプション(i)」で対応する。これはAppleCare+のオプションサービスという位置付けで、「全損・盗難・紛失」の際の再購入費用が2万円補填される(端末代金を6万円とすると、差し引き4万円は実費負担となる)。利用期間は2年間、利用料金はAppleCare+に2年あたり3800円を追加する形で支払う。なお、「auスマートパス」会員(月額390円)であれば、修理代金7800円を返金する特典を得られる(購入から2年間で2回まで)。

ドコモでは「ケータイ補償サービス for iPhone」を提供する。これは、交換端末を1日~2日以内にユーザー指定の住所まで郵送するサービス。故障した端末を持ってショップに来店する必要はない。補償範囲は「自然故障」「破損・水濡れ」「全損・盗難・紛失」で、3年目以降も利用できる。負担金は7800円で、1年で2回まで利用可能だ。利用料金は、5cは月額525円、5sは月額630円。

3社のアフターサービスについて考えた

ここから、さっそく各社のアフターサービスについて比較していきたい。まず、KDDI(au)、ソフトバンクではAppleに修理を依頼する手前、どうしてもApple Storeに来店する必要がある。その点、ドコモのサービスは、ドコモショップに電話を1本入れれば済んでしまう。突然の故障で、Apple Storeに行く暇がないというケースや地方に在住している人で近場にApple Storeがない人にとっては、大きなメリットと言えるだろう。

加えて、ドコモのケータイ補償サービス for iPhoneは、サービス利用申し込み時にリフレッシュ品が送付される。このため、ユーザーの手元には1日~2日で代替品が届く。また故障端末送付用の封筒が同梱されるので、手持ちのiPhoneもスムーズに送付可能だ。

さらに、全損・盗難・紛失の場合でも7875円で対応している。一方で、全損・盗難・紛失の場合、KDDI(au)やソフトバンクでは全額が補償されないため、数万円の実費負担は覚悟しなければならない。

2年間の利用料金で考えてみると、ドコモは15120円(5sの場合)、KDDI(au)は13600円、ソフトバンクは12600円となっている。一見するとドコモが高いように思われるが、1か月ごとの料金に換算するとKDDI(au)との差額は月額63円(1520円÷24か月)、ソフトバンクとの差額は月額105円(2520円÷24か月)である。料金面では、3キャリアほぼ横並びと言っていいだろう。

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iPhoneを購入する際、どうしてもキャッシュバックや特典など目先の利益に気をとられてしまいがちだ。しかし2年以上という長いスパンで利用することを考えると、万が一のトラブルに見舞われても安心して使い続けられるキャリアを選ぶのが賢明と言えるだろう。

(執筆:大石はるか)