そして、今年2014年だ。先週スペインのバルセロナで開催されたMWCではミッドレンジ以下の端末に特に注目が集まり、NokiaはAndroidをベースとした「Nokia X」シリーズをリリースした。先進国でのスマートフォン普及が一段落したなか、今後おそらくは200ドル以下の端末がスマートフォン業界での主役となっていくことだろう。そうなったとき、Appleはどうするのか?

もともと途上国で一定のシェアを持つNokiaや、全方位をカバーして業界シェアトップを維持しているSamsungは問題ないだろう。これら市場で強みを発揮しているZTEやHuawei、さらにはLenovoといった中国系メーカーは今後さらにプレゼンスが拡大してくるはずだ。インドなどの地場系メーカーにも注目が集まるかもしれない。逆に業界シェアの低いソニーなどは、むしろハイエンド端末を強化して先進国での一定の地位とステータスを確保するのが今後の生き残りという意味でいいのかもしれない。

ではAppleは? 生き残り策は2通りある。Samsungのように全方位をカバーし、ユーザーのニーズに応えるべく複数の端末ラインナップを用意する方法だ。現在、成長率頭打ちが指摘されつつある同社だが、こうした方法でしばらくは成長率を維持できるかもしれない。もう1つの方法は現状のままラインナップを絞り、あくまで高級路線を維持する方向だ。今後成長率停滞やシェア減少に見舞われる可能性が高いが、一定のブランドを確立できる。前述のように、中国市場でいう「ブランドとしてのiPhone」を重視する戦略だ。おそらくは、今回のiPhone 6のタイミングはその岐路にあり、今後のAppleの運命を大きく左右するのではないかと考えている。