【レポート】

iOS版「OneDrive for Business」に見るパッケージ時代の終焉 - 阿久津良和のWindows Weekly Report

 

Microsoftはタブレット市場でライバル……もとい先行されているiPad向けに、多くのアプリケーションをリリースしている。本誌にもレビュー記事を寄稿した「Microsoft Remote Desktop」や「Microsoft OneNote」のiOS向けアプリがApp Storeに並んでいる。中でも順調にアップデートを重ねているのが、「OneDrive for Business」である(図01~02)。

図01 App Storeには見慣れたMicrosoft製アプリが並んでいる

図02 「OneDrive for Business」のiPhone版。旧SkyDrive Pro

OneDrive for Businessのファーストリリースは2013年6月のバージョン1.0、続くバージョン1.1は2013年10月、そして最新版となるバージョン1.2が2014年2月末にリリースされた。OneDrive for Businessは、Microsoftのオンラインストレージサービス「OneDrive」に接続するクライアントではなく、Microsoft SharePoint上の共有ドキュメントライブラリと同期を行うのが主な機能である。

SharePointは、Webブラウザーベースの共同作業やドキュメント管理を行うプラットホーム製品であり、その源流はMicrosoft Office Grooveまでさかのぼる。なお、SharePointはMicrosoftが開発したものではなく、"Lotus Notesの父"として知られているRay Ozzie氏のGroove Networksを2005年に買収して自社製品としたものだ。

さて、OneDrive for Businessは使用条件として、SharePoint OnlineプランかOffice 365サブスクリプションの契約が必要なため、個人が購入するケースは皆無に近い。それでも今回のバージョンアップには、気になる点が含まれているので、取り上げることにした。

OneDrive for Businessのバージョン1.2ではアプリケーション名が変更されたほか、iOS 7向けのUI刷新や新機能が加わっている。中でも注目はオンプレミスな認証設定をサポートした点だ。SharePoint Server 2013に接続する際は認証が必要となるが、今回はNTLM認証に加えて、フォームベース認証をサポートしている(図03~04)。

図03 iPad用「OneDrive for Business」のログイン画面

図04 サーバーに接続すると保存しているファイルの一覧が現れる

NTLMは「Windows NT LAN Manager」の略した認証方法の1つとして、Windows NT 3.x時代から使われてきた。SharePoint 2013では、Windows認証(NTLM/Kerberos/ダイジェスト/ベーシック)とフォームベース認証、SAMLトークンベース認証などをサポート。認証情報の確認は主にAD DS(Active Directoryドメインサービス)を利用する。

一方のフォームベース認証は、同社のWebアプリケーションフレームワークであるASP.NETのID管理システム(メンバーシッププロバイダーおよびロールプロバイダー認証)で認証処理を行っている(図05~06)。

図05 Windows認証の主な流れ。AD DSで認証してからクライアントへデータを送信する(TechNetの動画より抜粋)

図06 フォームベース認証の主な流れ。ASP.NETが備える機能の認証を経てデータ送信を行う(同)

当初からサポートして然るべき機能だが、ファーストリリースから8カ月を数えて、ようやく実装したというわけだ。ただし、話は単純ではない。前述のとおり、本アプリケーションにはサーバーが必要となり、使用に伴う条件が定められてるが、個人向けOffice 365となる同Home Premium サブスクライバー(日本未発売)は提供外となる。

同社がパッケージ製品のMicrosoft Officeシリーズではなく、クラウドサービスのOffice 365に注力しているのは、関係者の発言やアピール度を見れば明らかだ。例えば、もっとも小規模な「Office 365 Small Business」の場合、4,920円/年と月にすれば410円。ただし、グループポリシーやデータ損失防止機能などが必要な場合、12,360円/年の「Office 365 Small Business Premium」を選択しなければならない。

Office 365 Small Business Premiumと同等製品にあたる「Office Professional 2013」は62,790円と、Office 365の約5年分に相当する。もちろんWordやExcelしか使わないのであれば、より安価な「Office Personal 2013」という選択肢もあるが、ライセンス管理という面で見れば、定額制サービスを選択するメリットは大きい。

身のまわりを振り返ってみると、以前のパッケージ形態だけでなく定額制サービスの選択肢を提供するアプリケーションが増えてきた。ATOKの定額制サービスである「ATOK Passport」のほか、マルウェアの定義ファイルやプログラム本体も常に更新され、ライセンス購入形式を用意するセキュリティ対策ソフトも多い。

3D地図とグラフで視覚化するExcelのアドイン「Power Map」などを含む「Power BI for Office 365」も製品名からわかるようにOffice 365向けとなる。Office Professional Plus 2013もサポート対象に含まれているが、一部のBI (Business Intelligence)ツールはOffice 365専用だ。

このようにMicrosoftもパッケージアプリケーションからクラウド系サービスの提供にシフトしつつあるが、CEO選定の空白期間が遅れを生み出したのかも知れない。すでに次期Microsoft Officeスイートとなる予定の「Office 16 (開発コード名)」の開発は進んでいるらしく、年内のリリースを目標にしているという噂も流れつつあるが、パッケージに固執する時代が終わりつつあるのは明らかだ。

阿久津良和(Cactus)

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