もうそろそろ春が来るというのに、同じ毎日でつまらないな~なんて考えながら生活していませんか? たしかに、新入生や新社会人などの世代を除けば、春といえどもさほど変化が訪れるわけではありません。そんなときはどうするか。

……漫画を読むしかないでしょう!

それも、ワクワクヒリヒリできる漫画――そう、ギャンブル漫画です。漫画をレンタルして安価に楽しめる電子貸本サイト「Renta!」には「ギャンブル」というジャンルがあり、そこでは古今東西のギャンブル漫画を手軽に楽しむことができます。

今回はその中から、特にオススメのギャンブル漫画を3作品ピックアップしてみました。変化のない毎日に退屈しているなら、ギャンブル漫画で熱を注入し、春に備えましょう!

『賭博覇王伝 零』(フクモトプロ刊)

賭博覇王伝 零

まずはこちら! 『カイジ』『アカギ』などの作品でおなじみの福本伸行が新たに仕掛けるギャンブルバトル漫画です! 福本伸行といえば青年誌のイメージが強いのですが、意外にも『週刊少年マガジン』(講談社刊)で連載されていました。なので暴力表現などは控えめで、そういうのが苦手な人にもオススメです。

この『賭博覇王伝 零』のスタートは自分もリアルタイムで体験したのですが、正直言って『カイジ』や『アカギ』といった濃厚な作品を生み出してきた福本伸行に、まだこれほどの作品を生み出す才能が残っているとは思ってもいませんでした。

「少年誌だし、ぬるい漫画になるんじゃないの」なんて思いながら読んでみたら……これがとてつもなく面白い! 驚愕っ……! 感嘆……! おそるべき福本伸行……!

物語の舞台は、日本一の資産家・在全無量が開催した「王への試験」と呼ばれるギャンブル。そして、主人公はそんな命がけのギャンブルに挑むことになった天才少年・宇海零(うかい・ぜろ)。ギャンブルの内容は相変わらず秀逸で、『カイジ』を初めて読んだときの「限定じゃんけん」の衝撃を久々に思い出しましたよ。

基本的に零は『アカギ』寄りの万能天才キャラなのですが、一方でカイジのような人間臭さも持っています。焦ることもあれば、仲間に裏切られて落ち込むこともあるし、何より仲間を思いやる優しさを持っています。福本作品ではそんな優しさが往々にして仇になることが多いのですが、零はそれをギリギリのところで跳ね返し、先へ進んでいきます。福本作品らしいハラハラドキドキの展開に少年漫画の熱さが加わったといえばわかりやすいでしょうか。

ところで、この『賭博覇王伝 零』に登場するギャンブルは、「カイジ」などのそれに比べて謎解き要素が強めです。最近は脱出ゲームが流行していますが、まさにあれに近い感じ。連載がスタートした2007年はちょうど脱出ゲームがブームの兆しを見せていた頃だったように記憶しているので、それも影響しているのでしょうか。

もちろんギャンブルのクオリティはさすがに福本作品だけあってお墨付き。5本の指を鉄板でガードしてノミで落とされるのを伏せぐ「指切りギャンブル」や、4方向のうち3方向が奈落になっている場所から目隠をしたままジャンプする「クォータージャンプ」など、謎解き要素に心理戦が加わって『カイジ』とはまた違った面白さを味わえます。

また、週刊少年誌での連載ということもあってか、一つ一つのギャンブルは短くまとめられているのも個人的には高ポイント。じっくりひとつのギャンブルを楽しむのもいいですが、これくらいシンプルな謎解きをポンポンと楽しむのもいいですね。そういう意味では、福本作品初心者にもまずオススメしたい作品と言えます。

映画化もされた『カイジ』や『アカギ』は読んだという人も多いと思うのですが、「賭博覇王伝 零」はそれらの名作に負けない面白さを持った意欲作です。ぜひこの機会にページをめくってみてください。やめられなくなること必至ですよ!

『ムダヅモ無き改革』(竹書房刊)

ムダヅモ無き改革

絶対これタイトルから思いついたんだろうなと思ってしまうタイトルオチな怪作。しかし、面白い! ある意味、面白いのです!

なんていうか……ここまでぶっ飛んだ麻雀漫画には出会ったことがありませんでした……というかコレ、麻雀漫画……なの?

本作は、元内閣総理大臣の小泉ジュンイチロー(一応言っておくと小泉純一郎氏とは別人です……たぶん)が得意の「麻雀外交」で外敵を次々となぎ倒していく痛快麻雀アクション漫画。って、この説明でもう何が何やらって感じだと思いますが、本当にその通りだから仕方ない。

本作での外交は、すべて麻雀で行われます。「ブッシュ」や「プーチン」、果ては「ローマ法王」まで登場して、ジュンイチローと麻雀対決を繰り広げます。さらに2巻からは宇宙から飛来したナチスとの麻雀対決がスタートし、ワーグナーなど歴史上の偉人も蘇って雀卓を囲みます。むちゃくちゃ? ええ、そうですが、何か?

肝心の麻雀部分はルールなどわからなくてもオールOK。バトル漫画のバトル部分が麻雀に変わっただけなので、麻雀で負ければ血ヘドも吐くし、電撃に撃たれて死にそうになったりもします。え、どういう理屈でそうなるのかって? ……知らん!

政治家が実名で登場する上に画力が高いせいで見た目もそっくりで、本当にこれ公開して大丈夫なの? とたまに心配になってしまう作品ですが、ここまでぶっ飛んでればもはや何でもありなのかな……。

『ボクがスロプロを辞めた理由』(ODDS刊)

ボクがスロプロを辞めた理由

最後はギャンブル漫画というよりは「ギャンブルをいかにしてやめたのか」という内容を綴った作品。スロプロと呼ばれるパチスロ生活者のリアルな生活と、その後を取材し漫画にした短編ルポ漫画です。

"パチスロはしないけど、パチスロ漫画は読む"というスタンスで生きてきた筆者としては、パチプロで生計を立てる「スロプロ」の生活や人生、考え方などに触れる機会はなかったので、とても興味深く読めた作品でした。

短編なので、一人あたりのエピソードは20数ページ程度。でもそこには、人生のある時期をパチスロに捧げた人一人の人生がぎゅっと凝縮されてつまっています。

人はなぜパチスロにハマり、どうやって生計を立て、そして何が理由で辞めていくのか。パチプロをやめたあとの人生とはどんなものなのか。人生の悲喜こもごもがほんの少しかいま見える、ロードムービーのような作品ですよ。