Appleのテクノロジーの育み方

Macは様々な新しい取り組みをコンピュータにもたらしてきた。例えば初代Macintoshはディスプレイ一体型で片手で持てるサイズにし、その後現在も一体型のコンピュータがiMacとして継続している。マウスを利用する事や、USBの採用、光学ディスクの排除など業界に先駆けて新しいテクノロジーを取り込んで届けることをしてきた。もちろんしばしば他社が追随しなかったアイディアや規格もあった。

30周年を迎えたMac

またデザインへの注力も魅力の1つと言える。MacBook Airは薄型のノートパソコンとして驚きを与えたが、筐体が作り出す影を使ってより薄く見えるような形に仕上げている点が印象的だった。また最新モデルのiMacのエッジは5mmの薄さ。この薄さにPCを使う上での機能性があるわけではないが、オンリーワンであることをきっちりと主張している。

Appleが現在のデザインのMacBook Airを披露する際、Steve Jobs氏が面白いサイクルを指摘した。Macで作られたテクノロジーを活用してiPhoneを作り、iPhoneのノウハウからiPadを作った。そしてiPadのノウハウからMacを進化させ、Macの進化は再びiPhoneを戻すという。現在のMacを見ると、ハードウェア面、ソフトウエア面から広範にわたってiPhone・iPadからのフィードバックがもたらされている。

例えばRetinaディスプレイやフラッシュストレージ、バッテリー時間の向上、Mac App Storeによるアプリストアの整備、通知センター、メッセージ、FaceTime、地図、iBooksなどが、デバイスの技術からOS、アプリに至るまで幅広く影響を受けていることがわかる。 このようにして、それぞれのデバイスの特色や新たな試みが、Appleのデバイスの共通の体験として波及していく「しくみ」で動いていく特徴が、しばらく続くのではにか、と考えている。例えばAppleが新たなデバイスを投入することになる場合、こうしたサイクルに参加して波及効果をもたらすやり方を続けるのではないだろうか。