名張名物の牛汁とはどんな料理なのだろう(写真は「焼肉レストラン 奥田」)

伊賀流忍者の里として知られる「赤目四十八滝」。ココで今、庶民的だけどぜいたくなご当地グルメが人気を集めている。ご当地のブランド牛「伊賀牛」を使った「牛汁」なるものだ。それって一体どんな料理なの? ということで、現地で食べ歩きをしてみることに。

牛汁が牛汁たる5つの条件

さて、お店を紹介する前に、牛汁の定義を説明しよう。牛汁が牛汁たるためには5つの条件を満たしていないといけない。

条件はこうだ。「1.肉は伊賀牛を使用すべし! 2.基本は和風醤油出汁で、伊賀牛とネギを使用せよ! 3.野菜などの具材はなるべく地元産を使用すべし! 4.商品名は『名張 牛汁』とすべし! 5.店先にはのれんを掲示せよ!」

ちなみに現在、三重県 名張の牛汁協会が制作している牛汁紹介webサイトでは、協力店として22の店舗が紹介されているが、ラインナップはバラエティーに富んでいて、レストランから焼肉店まで様々だ。

ゆずが香る一品はワンコイン価格!

では、店の紹介にうつらせていただこう。最初は、少し本格志向でご紹介! 訪れたのは「洋食モリワキ」だ。ココは伊賀牛専門店が営む洋食店で料理の品質には定評がある。とはいえ、牛汁は500円で提供。牛汁は醤油ベースに根菜類、タマネギやワカメなどの具材はスタンダードと言える。

「うちの牛汁には、ゆず皮が入っています。この香りがポイントですね」とオーナー森脇秀典さんは自信満々。なるほどゆずの香りが牛の持つ重厚さを和らげてくれている。そして、肝心の伊賀牛はその日の切り落としの部位を使っているが、そもそも肉質がいいから味は文句なし! リーズナブルだが超ぜいたくな味わいが楽しめるぞ。

ゆず皮がポイントという「洋食モリワキ」の「牛汁」は500円

●infomation
洋食モリワキ
三重県名張市中町鳥居前

「まかない飯」だからこそ、肉は切れ端に

次に向かったのは、観光地「赤目四十八滝」の入り口にある「上田屋」だ。「牛汁ください!」とオーダーして出てきたのは具だくさんな汁物。ニンジン、チンゲンサイ、こまつな、ぶなしめじ、白ネギ。そして山芋のとろろが個性的だ。そこに伊賀牛の細切れがドンと入っているのだ。

「肉はその日ごとに、ロースや脂身とかいろいろな部位が入っているよ」と言うのはオーナーの上田勝さん。上田さんによれば、牛汁はもともと名張の飲食店でよく出ていた「まかない飯」だったという。「だから、肉は切れ端が正解。部位も決まったものはないんだよ」。なるほどそう聞けば合点がいく。

実際に食べてみるとスープをすすると牛のエキスがぐぐっと自己主張してくる。味付けは醤油味でこんぶやカツオでだしが効いていてじんわりと身体を温めてくれる。こちらは600円である。

「上田屋」の「牛汁」は600円

●infomation
上田屋
三重県名張市赤目町長坂707-1

伊賀牛をお米でコーティング

最後は、同じ赤目四十八滝の入口にある、サツマイモでできた「へこきまんじゅう」で有名な「たまきや」だ。ココの牛汁は、何と驚愕の350円。そのリーズナブルさに驚きである!

「伊賀米をもち状にして、その中に伊賀牛の甘辛く炊いたものが入っています」と説明するのは、玉置弘美さん。伊賀牛をお米でコーティングするとは、なかなかなアイデアだ。肝心のお味はシンプルな醤油味だけどかなりの個性派とみた。

もちを崩すと牛汁がどわっと出てきて、味わいが丼いっぱいに広がる。もちも牛のエキスを吸って何とも味わい深い。ちなみにたまきやではいつも牛汁があるワケではないとのこと。じゃあどうすりゃいいかというと、「ひとりからでも予約できますよ」とのこと。うれしいサービスだ。

「たまきや」の「牛汁」は350円

●infomation
たまきや
三重県名張市赤目町長坂720-1

庶民の味わい、だけど高級素材の伊賀牛を使用する牛汁。現在は名張市・伊賀市内で20軒以上の飲食店が取り扱っている。忍者の里に来たなら、是非牛汁でスタミナをつけよう!