ソニーは2月6日、2013年度第3四半期決算発表会を行い、その席でPC事業(いわゆるVAIOだ)を日本産業パートナーズへ譲渡することを発表した。当初の予定されていた登壇者は、ソニーCFOの加藤優氏と広報センター長の神戸司郎氏だったが、急遽、社長兼CEOの平井一夫氏も出席した。

会見を行う、CEOの平井一夫氏(左)、CFOの加藤優氏(中)、広報センター長の神戸司郎氏(右)

第3四半期は、デバイス分野を除くエレクトロニクス4分野の業績改善と金融分野の業績が好調で、前年同期比と比較して大幅な増収増益となった。しかし、通期の連結営業利益に関しては、10月時点の見通しを下方修正し、当初は500億円を見込んでいた構造改革費用を200億円積み増しすることもあり、通期では1,100億円の赤字になる見込みだ。

連結の業績見込みは売上額こそ変わらないものの、営業利益が半減することからトータルでは1,100億の赤字で、今期黒字の見込みは達成できない

そして「VAIO」は…

エレクトロニクス事業全体の収益性を向上させるため、PC事業を日本産業パートナーズに事業譲渡を決定し、本日付で事業譲渡に関する意向確認書を締結した。正式な契約は、条件を詰めたうえで3月末に行われる予定だ。「VAIO」ブランドを冠するPC事業を、ソニーの直轄から外すということであり、読者諸氏にとっても大いに気になる部分ではないだろうか。

エレクトロニクス事業全体の収益性向上のためにPC事業売却、テレビ事業の分社化、合わせて間接部門規模の適正化を行う

プレスリリースでも述べられている通り、現在のPC事業は2014年春モデルをもって販売を終息し、その後は新会社で企画・設計・製造・販売を行う。新会社は、現在のソニーPC事業の拠点である長野テクノロジーサイトを拠点とする。現時点で1,100名ほど在籍しているVAIO事業部の人員は、250~300名が新会社へ移行する予定だ。残りの人員はソニーの他事業への配置転換と、早期退職制度を実施する。

また、当初のオペレーションを円滑に行うため、新会社に対してソニーから5%の出資を行う。新会社の社長には、現在のVAIO&Mobile事業本部 本部長である赤羽良介氏が就任し、当初の事業に関しては日本を主体としたコンシューマー、法人向けPCに注力するという。

VAIOのブランドがどうなるかに関しては、現在ソニーが持っている商標をライセンスするのか、商標ごと譲渡するのか、意向確認書の時点では決定されていない。

一方、新会社はVAIOブランドのPC事業を運営することから、「VAIO PCはなくなるの?」に関しては「No!」。現在のVAIO PCを作っているスタッフが、トップを含めて新会社へ移籍するため、「ソニーらしい尖ったPCとしてのVAIO」が消えることはないとした。

質疑応答では、タブレットPCのように棲み分けがわかりにくい商品に関して質問があったが、いわゆる「Windows PCは新会社」という回答だった。当面のタブレット製品は、XperiaブランドのAndroidを想定しているようだ。

また、テレビ部門に関しては高付加価値戦略の推進とコストダウンを狙い、完全子会社として分社化する。さらに、間接部門を含めた効率化と規模の適正化を行い、それに伴って世界全体で5,000名(日本国内1,500名)の人員整理を行うという。