ソニーの「nasne(ナスネ)」は、現代のライフスタイルにマッチする多彩な機能を備えたネットワークレコーダー&メディアストレージだ。ネットワークレコーダーとして、地上デジタル/衛星デジタル(BS/110度CS)などの各種放送を録画できるだけでなく、メディアストレージとして写真やお気に入りの音楽、ホームビデオの動画、文書などのプライベートコンテンツを保存しておける大変便利なアイテムなのである。

レコーダー/NAS/メディアサーバーなどの機能を一つの統合した「nasne」は、映像、音楽、写真といった散乱しがちなデジタルコンテンツの集積場所としてもピッタリ。積極的な機能アップデートにより、様々な新機能が追加されるのも大きな魅力

nasneは単体での利用ができないことはないが、「PlayStation 3」および「torne(トルネ)」アプリケーションを利用して録画・再生・管理などを行うのが一般的。しかし、毎回PlayStation 3とtorneを起動するのは非常に面倒であるし、せっかくのネットワークレコーダーにもかかわらず、視聴場所が限定されてしまい、その魅力も半減してしまう。

そこで、今回お勧めしたいのが「nasne」とiPhone/iPadを使って構築する、フレキシブルにテレビを楽しめる視聴環境だ。両製品の組み合わせは実に相性もよく、番組のリアルタイム視聴をはじめ、録画した番組の再生や管理、さらに番組の持ち出しもiOS向けの専用アプリから簡単に行うことができるなどメリットも多い。

nasneを活かす視聴環境とは!?

nasneで録画されたテレビ番組をiPhone/iPadで視聴するための準備としては、まず「DTCP-IP」と呼ばれる規格に対応したアプリが必須となる。

iOS向けのDTCP-IP対応アプリには、独特のユーザーインターフェースを持つ「Twonky Beam」(PacketVideo)をはじめ、シンプルなデザインで操作性に優れた「Media Link Player for DTV」(ALPHA SYSTEMS INC.)、多彩な機能が満載の「DiXiM Digital TV」(DigiOn, Inc.)などが挙げられる。価格はそれぞれ700円~1,500円程度だ(アプリ内課金含む)。ユーザーインターフェースや詳細な機能などに違いがあるので、自分の好みにあわせてアプリを選ぼう。

なお、録画した番組の削除といった管理を行いたい場合は、ソニーが配布しているiPad専用の無料アプリ「RECOPLA」も導入しておくといいだろう。

「Twonky Beam」(左)、「Media Link Player for DTV」(中央)、「DiXiM Digital TV」(右)の3つのiOS向けアプリがDTCP-IPに対応している。これらアプリを導入しWi-Fiが届く範囲であれば、nasneとiPhone/iPadでいつでもどこでもテレビを楽しめるようになる
※このほど「Twonky Beam」はバージョンアップしたため、現在のUIとは異なる場合があるのでご注意下さい

まずは、古参アプリである「Twonky Beam」を使った例をご紹介する。nasneとiPhone/iPadを、同一のローカルネットワークに接続した状態で、アプリを起動すると、Twonky Beamの「マイメディア」画面に自動的にnasneがリストアップされるので、画面上からビデオフォルダを選択し、録画済みの番組一覧を表示する。

続いて、視聴したい任意の番組名をタップすると「BEAM」および「ムーブ」のアイコンが表示されるので、そのまま視聴するならBEAMアイコンを、番組をiPhone/iPadに移動して持ち出すならムーブアイコンをタップすればOKだ。持ち出しを選択した場合は、iPhone/iPadへ番組のダウンロードが自動的に開始され、完了後はiPhone/iPadがオフラインの状態でも番組の視聴が可能となる。

「Twonky Beam」により、録画番組の一覧を表示した様子。さらに番組名をタップすることで、「BEAM」(再生)または「ムーブ」(持ち出し)を選択できる。なお、無線LANネットワークは11n以上の高速な通信速度もつものが望ましい

ちなみに、ビデオフォルダの中に表示される「ライブチューナ」の項目を選択すると、現在放送中の番組をリアルタイムで視聴することもできる。さらに、iPad専用のアプリ「RECOPLA」を同時にインストールしておくことで、アプリ同士の連携が可能となり、より見やすい形で録画番組の一覧と情報を閲覧・管理し、ワンタップでTwonky Beamに切り替えて番組を視聴するというフローも実現できるのでさらに利便性が向上する。

「RECOPLA」で録画番組の一覧を表示すると、番組情報も同時に確認でき見やすい。番組の視聴を行うときはそのまま番組をタップ、番組を持ち出したいときは「おでかけ転送」ボタンをタップする。また、録画番組の削除についてもRECOPLAから行える

さらに、先日公開されたnasneの最新システムソフトウェア(バージョン2.10)では、ユーザー待望となる「録画番組へのチャプター自動生成機能」が追加された。同機能は、音や映像の切り替わりを検知し番組録画中に自動的にチャプターを作成するもの。瞬時に任意の再生箇所までスキップしたり、素早く見たいシーンを探すのに重宝する新機能だ。

ただし、チャプターが自動的に付加された録画番組のスキップ操作に対応しているのは、現時点で「Media Link Player for DTV」および「DiXiM Digital TV」だけであり、残念ながら「Twonky Beam」ではチャプターの操作はサポートしていないのでご注意を。

「Media Link Player for DTV」を使って、nasneに録画された番組内のチャプターを表示してみた。CM部分などをスキップ際の操作に対するレスポンスも軽快で心地よい。ただし、RECOPLAとの連携機能には非対応

以上、ここまでご紹介したように、「nasne」とiPhone/iPadと使って録画番組などの視聴や管理を行うことで、時間や場所に縛られることなく様々なコンテンツをより手軽に楽しむことができる。また、多忙を極めるクリエイターや、ビジネスマンの方々にとっては、情報収集にあてる時間も大幅に削減し効率化してくれる非常に利便性の高いシステムともなっているので、ぜひ導入を検討してみてはいかがだろうか。