本連載ではAppleが取り組むiPhoneやモバイルサービス、そしてこれから作りだされる未来の生活について、ジャーナリストの松村太郎氏が深読み、先読みしながら考えていく。第4回のテーマは「iPhoneに"おサイフケータイ機能"が搭載される日はくるのか?」について。

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筆者はサンフランシスコと東京を行ったり来たりする生活になったが、日本で体験できるスマートさを米国で見出すのは難しい。とにかくケータイやスマートフォンは、米国で見ている以上に万能の道具となっているからだ。

書籍や漫画を読むのはもちろん、ニュースをスマートに読むツールも普及している。ネットカルチャーもテキストから動画まで幅広く、ゲームも流行っている。

AndroidスマートフォンではNFCによりかざすだけで支払い可能に

そして駅の改札では、ケータイをかざして通過する人が何人もいる。Androidにはおサイフケータイ機能が入っており、それを真似したいiPhoneユーザーは交通系の非接触ICカードを収納できるカードを使っている。駅だけでなくコンビニやファストファッションのお店、電器店でも電子マネーを利用でき、財布や小銭からは完全に切り離された生活が可能だ。

日本で、生活の必需品としての携帯電話の象徴とも言える機能がおサイフケータイになっていた。世界的に見れば、同様の技術はNFCとしてSamsung、LG、そしてGoogleが主導するNEXUS端末にも採用されており、サンフランシスコ近辺でもNFCを活用した「Google Wallet」での決済に対応するコーヒーチェーンも見られる。最近NFC非搭載の端末での決済にも対応するようになったが、スマートフォンやタブレットをクレジットカード決済のレジに変えるSquareほどの盛り上がりは見られない。

AppleもNFCに興味がありそうだが……

iPhone 5やiPhone 5sが登場する際に、画面拡大に並んでAndroidへのキャッチアップとして導入が望まれてきた機能がNFCだった。おサイフケータイが生活に入りきった日本でもニーズが高かったが、海外でもテクノロジーメディアを中心に期待する声が高かった。しかしiPhone 5sでも、AppleはNFCを導入しなかった。