【インタビュー】

Raspberry Piで作った素晴らしいものを世界にも教えてほしい -Eben Upton氏

1 Raspberry Piが成功した背景にある3つのポイント

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コミュニティとの連携を重視したことで受け入れられたRaspberry Pi

超小型のマイコンボード、というよりは超小型PCと位置づけた方が正しいであろう「Raspberry Pi」はマイナビニュースでもいくつかニュースや記事などを掲載しているが、このRaspberry Piの開発者であり、かつRaspberry Pi財団の創設者でもあるEben Upton氏が昨年5月末に一週間ほど日本に滞在した。この滞在はかなり忙しいもので、24~26日と28日は東京で様々なイベントに出席され、その合間に27日は大阪で講演を行われている。そんな忙しいUpton氏であるが、5月28日に時間を取っていただいてお話を伺う事が出来た。5月末のインタビューを半年以上寝かしていたのは、一重に筆者の怠慢によるところで、関係者の皆様に深くお詫びすると共に、インタビューをご紹介したいと思う。

--大阪の人々の反応はどうでした?

とてもとても素晴らしいものだったね。すごくイノベーティブだったし、色々興味ある話があった。あと(大阪の前に開催された)ワークショップも素晴らしかった。

--それは良かったですね。さて、まず最初ですが、ちゃんと予習してきたので、もう今更「Raspberry Piって何?」とかはもう聞きません(笑)

それはうれしい(笑)。もう何回も同じ事を聞かれてるからね(笑)

--Raspberry Piは2012年2月に出荷開始して、わずか8カ月で100万台に達しました。この勢いは、Arduinoを除くと非常に大きなものです。Arduinoはちょっとターゲットが違うので除外して考えるとして、ワンボードマイコンとしてはもっとも成功した例になったと思うのですが、これについてどう思われますか?

Raspberry Piの開発者であり、かつRaspberry Pi財団の創設者でもあるEben Upton氏

ポイントは3つある。まず1つ目は、まず技術的に良い製品なことだ。非常に低コストでありながら、十分な機能を持ち、PCと同等のExperienceを提供できる。特に価格性能比の点で、明確に差別化できていると思う。たった25ドル(Model A)か35ドル(Model B)を払うだけで手に入る。2つ目はビジネスモデルだ。単にボードを販売するだけでなく、組織をきちんと整えた。複数の企業がRaspberry Piの販売に携わっている。3つ目がマーケティング、特にSocial Mediaだ。私の妻(Liz Upton氏)がこれに携わっているが、うまくCommunityとEngageできたと思う。

--ではその1つ目のポイントについて。Raspberry Piに使われたBroadcomのみならず、TIをはじめ多くの半導体ベンダがARMベースのローコストSoCをリリースしていますが、ただいずれもRaspberry Piほど成功していません。

最初にRaspberry Piを見た人は、これが成功するとは思っていなかった。「これ100ドル?」とかね。大体他の商品はどれも50~60ドルの価格レンジにある。私はこれを半分にした。もう我々が出荷を開始してから1年…15カ月ほど過ぎたけれど、まだ同等の価格レンジの競合製品は出現していない。加えて言えば、100ドル未満でこれに匹敵する性能のものは未だに無い。

--ちょっと確認します。このSoCの設計はあなた御自身ですよね?

そうだ。実際には100人からのメンバーで設計をやっていて、私はそのメンバーの1人だがね。

--でもあなたは確かChief Architectを勤めておられたかと。

主にVideoCore IV GPUデザイン周りに携わっていた。VideoCore IVに関しては、GPU GuyがShader Processorとかを設計していて、続いてまだリリースしていないがVideoCore Vに関しての全体的なアーキテクチャも担当しているほか、今も幾つかのSoCのアーキテクトを勤めてる。

--そういえば、Raspberry Pi Users GuideのAbout the Authorsの中に"ASIC architect and general troublemaker"とありますが、これはどういうことですか?

確かに私はChip Architectなんだけど、私は1人で仕事してるわけじゃないからね(笑)。2009年頃はARMのSoCを作るのに100人位のメンバーが必要だったが、今ではそれが200人になっている。Architectは重要だけどストレスの多いという仕事でね、どうしても(トラブルは)多くなる。

--次に2つ目のポイントについて。Raspberry PiはRS Componentとelement14という2つの代理店を選ばれましたが(現時点では他にAllied ElectronicsおよびEGOMAN Technology Corpも加わっている)。ただDIYマーケットという意味では例えばSPARKFUNとかChipOneStopとか他にも多くの代理店が存在するのですが、この2社を選んだのはどうしてでしょう?

RS Componentとelement14は世界中に供給体制を持つ大きな2社だからだ。element14はUKベースだしね。もちろん我々はSPARKFUNと関係は保っているが、彼らは我々にとってSecond Distributorだ。ただこの2社と契約したことで、スケーラビリティとグローバルリーチの両方を手にした。RS Componentは世界のGDPの90%を占める地域に営業拠点や代理店を持っている。

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インデックス

目次
(1) Raspberry Piが成功した背景にある3つのポイント
(2) 今後の課題は子供向けに簡単に使えるようにする環境の整備
(3) ハードの開発ではなく、ソフトの開発に注力
(4) 開発環境こそがRaspberry Piの重要なマーケティングツール
(5) 日本人は素晴らしいものを作るが、ちょっとだけShy


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