突然だが最近お気に入りのカメラを問われたら、筆者はキヤノン「EOS 70D」を筆頭に挙げる。2013年夏に発売されたミドルクラスの一眼レフだ。約半年使用して、少し気になった点はあるものの、トータルとしての満足度はとても高く、仕事でもプライベートでも重宝している。長期レポートの第1回は、EOS 70Dの長所と弱点をまとめてみた。

キヤノン「EOS 70D」

  • 長所その1「ライブビュー撮影でのAFが速い」

何が気に入ったかといえば、いちばんはやはり「デュアルピクセルCMOS AF」によるライブビューでのスムーズなAF駆動だ。それまで使っていた「EOS 60D」は、一般的なコントラスト検出方式を採用していたため(ライブモードの場合)、ライブビューでのAF撮影はあまり実用的とはいえなかった。そのため私は、ファインダーで撮りたいときは一眼レフ、ライブビューで撮りたいときはミラーレスカメラ、という使い分けをしていた。

だがEOS 70Dなら、ライブビュー撮影時でもAFがテキパキと作動するので、サブ機としてミラーレスカメラを持ち出す必要はなくなった。激しく動き回るスポーツシーンをライブビューのAFで撮るのはさすがに厳しいが、スナップやポートレートなどの用途では「十分に使える」といっていい。

  • 長所その2「バリアングル&タッチ液晶が便利」

背面モニターの可動は、製品によって上下方向のみに動く「チルト式」と、上下と左右に動く「バリアングル式」の2種類があり、どちらを好むかは人によって分かれる。私は、縦位置撮影でも活用しやすいバリアングル支持派だ。

EOS 70Dは、従来機であるEOS 60Dから引き続きバリアングル式の液晶を採用している。しかも前述したデュアルピクセルCMOS AFを搭載した上で、新たにタッチパネルにも対応したので、使い勝手は大きく向上。植物などをローポジションからマクロ撮影する際や、スタジオでの商品撮影の際は特に役立っている。

上下に180度、左右に175度まで動く液晶モニター

  • 長所その3「光学ファインダーを備える」

そもそもライブビュー撮影を重視するなら、一眼レフではなく、ミラーレスカメラをメインに使ったほうがいい、という考え方もある。なにしろ近ごろのミラーレスカメラはその性能アップが著しく、画質も機能も操作性も一眼レフに遜色ないレベルに迫っている。それにもかかわらず私がミラーレスに全面移行しないのは、光学ファインダーを見ながら撮影がしたいから。これは機能や性能の違いというよりは、慣れと好みの問題だ。将来は分からないが、現状では光学ファインダーのほうが安心できるし、目も疲れない。

視野率98%のペンタプリズムファインダーを搭載

  • 長所その4「ファインダー撮影でのAFが速い」

ファインダーが特に役立つのは、ペットや子ども、スポーツといった動きの速い被写体を撮る際だ。ライブビュー撮影時の「デュアルピクセルCMOS AF」よりも、ファインダー撮影時の「19点位相差検出AFセンサー」のほうがさらにスピーディで、動体追従性にも優れている。素早くピントが合うAF駆動のフィーリングは使っていて気持ちがいい。背面の十字キーによって、測距点をダイレクトに移動できるのも便利だ。

  • 長所その5「操作レスポンスがスピーディ」

AFだけでなく、そのほかの操作レスポンスも快適だ。EOS 70Dの公称のレリーズタイムラグは約60ms(0.06秒)で、連写は最高で約7コマ/秒に対応。レリーズのミラーの動作は素早く、ファインダーの像消失時間は短めだ。さらに、メニューやクイックメニューの操作、タッチパネルの反応などもきびきびしている。