ではなぜ、Lenovoはスマートフォンでの市場拡大や米国市場への進出にこだわるのだろうか? 後者の米国市場進出については、ハイエンド端末では世界屈指の市場であり、トレンド発信基地でもあることから、ここでのプレゼンスを高めることは残りの市場攻略への糸口となる。

前者のスマートフォン市場での拡大についてはGartnerの調査報告が面白い。Gartnerでは2015年までのPCとスマートデバイス市場の推移を予測しており、これによるとLenovoが主力としているPC市場は今後も縮小を続ける一方で、スマートフォンやタブレットは順調にその出荷台数を伸ばしている。

■世界のデバイスセグメント別出荷台数の推移予測(出典: Gartner、出荷台数の単位は千)

デバイス種別 2012年 2013年 2014年 2015年
PC (デスクトップ/ノート) 341,273 299,342 277,939 268,491
タブレット 119,529 179,531 263,450 324,565
携帯電話 1,746,177 1,804,334 1,893,425 1,964,788
その他モバイル 9,344 17,195 39,636 63,835
合計 2,216,322 2,300,402 2,474,451 2,621,678

Lenovoが今後も成長を続けるために、PC以外の分野でのシェアを拡大していくことが必須になりつつあるのだ。現在PC市場で世界トップメーカーのLenovoだが、潜在的市場規模ではタブレットや携帯電話のほうが大きく、おそらくは利益率も高い。Appleがそうであったように、次なるステップを目指したのがMotorola Mobility買収というわけだ。先日、LenovoがIBMのx86サーバ部門買収を発表しているが、これもPC以外の市場に目を向けた結果だと思われる。2004年のIBM PC部門のLenovoへの売却発表以来、急拡大を続けてきたLenovoだが、そうした変革の時期が近付いている。