なぜ米国市場でMotorolaなのか

もっとも、いまのMotorolaにそこまでのブランド力があるのかというと、筆者の感覚では「ノー」だと言いたい。Motorolaが輝いていたのは7~8年前にMoto RAZRを発売していたくらいのタイミングで、以後はヒット作も出せずに延々と苦しんでいた印象しかない。

Appleと共同開発したROKRは非常に微妙な製品で、2年半後にApple自身がiPhoneを発表したことで闇に葬り去られた。一時期Android製品で浮上するものの、Verizon Wirelessとの独占契約が中心で、しかも製品名の「Droid」はVerizon自身の商標であり、HTCなど他のDroid製品を開発するメーカーの中に埋もれてしまい、Motorolaはブランドとして以前の輝きをほぼ失ってしまった。現在、Google傘下企業としてMotorolaがリリースしている「Moto G」や「Moto X」はどちらかといえばミッドレンジ向け製品であり、ハイエンドでの製品競争からはすでに脱落してしまったといえる。

一方で、むしろきちんと製品ラインナップを上から下まで揃えてアピールできているのはLenovoのほうだ。同社のスマートフォン事業はIntelのAtomプロセッサを採用した中国向けのK900に始まり、最新製品ではSnapdragonを採用したハイエンドのVibe Z、そしてMediaTekのプロセッサを採用したミッドレンジ以下の製品ラインナップと、比較的幅広い。ただ、前述のようにLenovoには米国での足掛かりがなく、Motorola買収での米国市場参入は第1弾で、次にこうしたハイエンド製品を米国のポストペイドユーザーに、ミッドレンジ以下の製品をプリペイドユーザーに対して順次供給していくことで、少しずつ製品ラインナップの展開を行っていくとみられる。

Lenovoのハイエンドスマートフォン「Vibe Z」

主に中国や新興国向けのミッドレンジ以下のモデルの数々