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『にがくてあまい』小林ユミヲ(マッグガーデン)

にがくてあまい

小林ユミヲの「にがくてあまい」は、容姿端麗で仕事もできるが、男運が全くなく、野菜嫌いで料理下手のアラサー女子・江田マキと、イケメンのゲイで料理上手の美術教師・片山渚が、ヒョンなことから同居生活を始める物語。その二人をつなぐのがタイトル“にがくてあまい”の由来となっている“料理”である。ちょっと絵柄が多いレシピ本でありーーそのどれもが物語の進行上、本格的なベジタリアン料理となっているのが秀逸!ーーまた主人公の実らぬ愛のストーリーとなっており、実用的、かつ創造的な不可思議なマンガである。またバイプレイヤーも魅力的な人物が多く、例えば脱サラした有機野菜農家であるマキの父親・豊や渚の死んだ兄とゆかりのある若手女優青井ミナミなど、個性的な面々の様子が、力強く書かれているのも魅力。下ネタやゲイネタなども小気味よく、クスッと笑える嫌らしくない程度で挿入され、子供から(!?)大人まで楽しめる印象。脇役のスピンオフや登場した料理をまとめたレシピ本など、これからの展開にも期待したい。

『JOKER』上杉可南子(双葉社)

JOKER

斉藤一花は10代でプロになり天才と呼ばれたものの、ある出来事を機にやる気を失ってしまった女流棋士。今ではお見合いパーティに通う23歳の冴えない “ただの女”になっている。ある日2ヶ月前に同じくお見合いパーティで知り合った、サクラで出席していたという吉原鉄平と再会。自分がいなくなる1~2年の間、一人息子のアキラを預かってほしい、そんな突飛な物語から始まるのが、上杉可南子の「JOKER」。実はこの鉄平、2ヶ月前に勝手に一花の部屋の忍び込んで現金と家財を盗んでいった泥棒なのだが、性格的に警察に行くこともできなかったという“一番まぬけ”で“一番懐の深い女”である一花が、アキラと共同生活をしていく中でさまざまな問題が巻き起こる。ただでさえ勝てない将棋、多様なキャラの将棋仲間、そしていきなり押し付けられたアキラ、と全3巻のショートものながら、ギュッと濃い内容で読み応えあり。最後のどんでん返しはぜひご自身でご確認いただきたい。

『サプリ』おかざき真理(祥伝社)

サプリ

テレビドラマ化もされたのでご存知の方も多かろう、おかざき真理の「サプリ」。今月1位の「にがくてあまい」の主人公同様、広告代理店でCM制作に携わるバリバリのキャリアウーマンという設定が面白い。藤井ミナミは27歳にもなって恋愛下手という広告代理店勤務のキャリアウーマン。物語は7年間付き合っていた彼氏と分かれるところから始まる。今後、彼氏になりそうな同期・萩原や、ミナミに猛烈アプローチを仕掛ける後輩のイシダ、そしてイシダに迫るミナミの後輩・渡辺、またミナミの上司にあたる40代後半独身のヒラノ、ミナミの会社に出入りするフリーランスのコピーライターでありミナミの良き理解者である柚木など、ミニマムな登場人物で、実際にありそうな仕事、恋愛、友情、などが錯綜するというストーリー。本作を読んでいるあなたも、“私だったらこうに違いない!”なんて感情移入がしやすいのも好印象。まさに仕事と恋に揺れる働く女のリアルストーリーだ。

3位はたまきちひろの『ウォーキン・バタフライ』、6位はいがわうみこの『虹の娘』、9位は上杉可南子の『色男』などがランクインしている。なお1月のヤングレディースコミックランキングは以下の通り。

順位 作品タイトル 著者/原作者名
1位 にがくてあまい 小林ユミヲ
2位 JOKER 上杉可南子
3位 ウォーキン・バタフライ たまきちひろ
4位 おかざき真理
5位 サプリ おかざき真理
6位 虹の娘 いがわうみこ
7位 こぼれるくちづけ KUJIRA
8位 ヘルス嬢のラブレター 犬原みーたん
9位 妄恋 上杉可南子
10位 色男 上杉可南子