毎年1月に開催されるCESでは、年の初めのイベントとあって各社が競うようにIT・家電製品のハイエンドモデルを発表する。この動きに対して台湾ASUSTeK Computerは、独特の機能を持つユニークな製品と、価格そのものがインパクトを持つ製品という、ひねりを効かせた発表を行うことで話題作りをしていたのが特徴的だった。

CESに合わせて年始の新製品発表会を開催したASUSのJonney Shih会長

今回、年始の目玉製品としてASUSが発表したのが「Transformer Book Duet TD300」だ。13.3インチ液晶ディスプレイと第4世代Coreプロセッサーを搭載した2-in-1デバイスで、形状はオーソドックスなクラムシェル型ノートPCに準じたもの。ディスプレイ部分とキーボード部分を脱着できるようになっており、ノートPCとしてもタブレットとしても使用できる。

デュアルOS搭載13.3型2-in-1デバイスの「Transformer Book Duet TD300」

第4世代Coreプロセッサーを搭載するなどスペックはパワフル

キモとなっているのは、電源を入れたままWindowsとAndroidの2つの環境を切り替えて使用できることで、切り替えに必要な時間は約4秒と素早い。キーボードのF12キーの右隣にOS切り替え用のキーが用意されており、これを押すだけでいつでもWindowsからAndroidへ、またその逆へ切り替えることができる。実際には切り替え用のアプリを呼び出しているだけなので、キーホードを取り外しタブレット形状で使用している場合は切り替えアプリのアイコンをタップすることで2つの環境を切り替える。

アンドロイドロボットのアイコンが描かれたキーを押す

約4秒でWindowsとAndroidが切り替わる

本体の形状はノートPCまたはタブレット、OSはWindowsまたはAndroidと、この製品の利用スタイルは都合4種類も存在することになるが、机で作業するときと立ったまま操作するとき、仕事とオフというユーザーのすべてのシーンを1台でカバーできるマシンとして売り出す格好だ。CPUの選択肢にはCore i3/i5/i7、液晶ディスプレイにはWXGA(1,366×768)とフルHD(1,920×1,080)IPSパネルが用意されている。最小構成価格は599ドルで、今年第1四半期に販売開始予定。

どのような仕組みを利用してOSのスイッチを実現しているのか、詳細は明らかにされていないが、どちかのOSが仮想マシン上のゲストOSとして実装されているわけではなく、両方のOSがネイティブパフォーマンスを発揮できる形で動いている。逆に言えば、同時に2つのOSを利用することはできず、一方のOSが動いているとき他方のOSは完全に止まった状態になっている。説明員に、「止まっているOSは"スリープ"の状態なのか」と尋ねたところ、「スリープではなく、我々の言い方では"フリーズ"の状態になっている」と話していた。確かに、環境の切り替えを行ってもWindowsのイベントビューアにはOSがスリープ状態に移行した旨を示すイベントは記録されていなかった。なお、両環境の間でのデータのやりとりはメモリーカードやWebストレージサービスなどを介して行う形となる。

また、本体となるタブレット側には64GBまたは128GBのSSD、キーボード側には320/500/750GB/1TBのいずれかのHDDを搭載している。バッテリーの容量はタブレット側のサイズは342×216×12mm、キーボード側の340×217×16mm。パフォーマンス、機能ともに充実している分、キーボードを含めた重量は1.9kgと、13型クラスのモバイル機としてはやや重量感があった。