NTTドコモが2013年度内の導入を目指していたTizenOS搭載スマートフォンの導入を当面見送ると発表したことが話題になっている。AndroidとiOSに続く第3のモバイルOSを目指して鳴り物入りでの登場が噂されていたTizenだが、いったいなにがあったのだろうか? その背景や今後の展開について分析する。

鳴り物入りで登場が噂されていたTizen

ドコモに何があったのか

NTTドコモによれば、2013年度内の導入を目指していたTizenOS搭載スマートフォンについて、モバイル市場を取り巻く環境の変化に鑑み、導入を当面見送ることにしたという。一方で業界団体であるTizen Associationのメンバーには継続して残り、TizenOSの普及に向けて取り組んでいくことも表明している。「導入を見送ったのに普及に向けて取り組んでいく」というのも奇妙な話だが、ここから1つわかるのは「Tizenを諦めたわけではないが、少なくとも早期投入はない」という意志決定がなされたことだ。そして2013年度内の投入がないだけで、2014年度以降については未定となっている。このあたり、いろいろな思惑が交差しての今回の公式表明というところだろう。

昨年夏、NTTドコモ加藤薫社長は「冬の導入に向けて順調に推移している」とコメントしていたが……

今回、ドコモから正式発表が行われる少し前にSankeiBizが同件について報じていた。それによれば、Tizen無期延期の理由はOSの完成度そのものよりも、ドコモの経営事情によるものだという。iPhoneの在庫不足に加え既存のAndroid端末の在庫を抱えており、営業利益目標達成が難しいことに加え、携帯3社によるiPhone販売競争激化により販促費(いわゆる端末の割引販売で発生する損失)の積み増しがあり、業績を圧迫しているようだ。ゆえに、このタイミングでTizenまで含めたプロモーション費用の計上や在庫リスクは抱えられないという判断が働いたというわけだ。また、おそらくはTizen導入時点では計画されていなかったiPhone取り扱い開始の件もあり、Samsungとの関係が見直されつつあるのではないかという考え方もSankeiBizでは伝えている。