グーグル 教育業界担当 部長 西 康裕氏

グーグルは1月14日、「検索キーワードの動向から読み解く2014年の教育業界のトレンド」の記者説明会を開催した。説明会には、同社 教育業界担当の部長を務める西 康裕氏が登壇し、教育関連の検索キーワードに関する説明を行った。

同社によると、教育関連の検索数は、過去1年間で31%増加しており、オンライン教育に関する検索では22%の増加率を記録しているという。モバイル端末の普及に伴い、オンライン教育などの「教育コンテンツの新しいものが、検索キーワードにも表われている」(西氏)という。実際に、検索キーワードの急上昇ランキングでは、タブレット端末や動画、ライブ授業といった関連検索が増えている。なお、教育関連の検索キーワードのモバイル検索比率は50%~60%程度となっている。

特に注目を集めているのが、MOOC(ムーク)やeDX(エデックス)と呼ばれる大規模公開オンライン授業だ。検索数の規模こそ、今後注目の分野ということで大したものではないというが、2012年~2013年にかけて181%の伸び率を記録している。

ほかにも、オンライン英会話の需要も堅調で、特にDMMがオンライン英会話のサービスを開始してから関連検索が増えているという。

その一方で、日本におけるオンライン教育関連の検索数は、諸外国に比べて少ない。これは、国内企業が手掛けるオンライン教育サービスの少なさが影響しており、「スクーやマナビーといったベンチャー企業が存在感を示しているが、それぞれの企業名で検索されており、ジャンルとして定着していないのが現状」と、西氏は分析している。

また、「習い事」のランキングでは、「英会話」が大人向けと子供向けの双方で伸びている。ただ、それぞれの伸びた理由は異なるのではないかとした上で、「子供向けは、小学校における英語の必修化、大人向けは企業のグローバル化にともなった、スキルアップのために学びたい人が増えたのでは」と分析している。

面白いデータでは、教育関連の検索キーワードにも"季節性"が存在し、「センター試験」や塾などの「講習」が季節ごとに顕著な山が見られる。

例えば、センター試験は当然のことながら年始に急激な検索数の上昇が見られるが、実は9月頃から徐々に検索数の増加が毎年見られるのだという。何故9月なのかについてはハッキリとはわからないというものの、高校が二学期に入り、「いよいよ本番」という学生が多いものと見られる。

なお、2013年だけ5月頃に検索数が一時的に伸びているが、これは「センター試験の廃止・要項の変更」が一部メディアで取り沙汰されたためだという。

一方で、塾や予備校の「講習」に関する関連検索では、それぞれの2カ月前から検索ボリュームが伸び始めるという。ただ、圧倒的に検索数が多いのは夏期講習とのことで、他の時期よりも数倍程度の伸び率となっている。

教育関連の検索伸び率は、検索キーワード全体の伸び率よりも高い数値を示している。ただ、オンライン教育に限ると、日本国内で認知が広まっていないのが現状だという。

西氏は「国内ではベネッセやユーキャンといった民間の企業が積極的に通信講座を開催しているのに対して、諸外国、例えばアメリカは大学がオンライン教育に力を入れている。日本でそのような教育に力を入れているのは、放送大学や、ソフトバンクのサイバー大学程度で、著名な大学があまり力を入れていない現状がある。もちろん、教育制度や文化などの違いがあるので、すぐに広がるとは思っていないので、じっくりとオンライン教育の裾野が広がっていくことを期待している」と語った。