創業以来、変わらぬ味を守り続ける「本とん平」の元祖「とん平焼き」

「とん平焼き」というB級グルメをご存知だろうか? 大阪など関西のお好み焼き屋や居酒屋では定番とも言えるメニューのひとつで、もちろん人気も高い。東京ではまだそれほどポピュラーではないようなので、ここで紹介したいと思う。

ふわとろ卵で包んだオムレツ風お好み焼

「とん平焼き」とは、豚バラやキャベツなどの具材をお好み焼き粉(小麦粉)の生地とともに炒め、最後に溶き卵で包み焼いたもので、ソースやマヨネーズをたっぷりかけて食べる。こう書くと、「お好み焼の一種?」とか「イタリア料理のピカタみたいなもの?」と思われそうだが、ふわとろの溶き卵で包んでいるので、豚肉とキャベツの入った「和風オムレツ」を想像してもらった方がイメージとしては近い。

お好み焼よりもややボリュームは軽めで、分量的には、例えば1皿を4人でつつけば、1人1口か2口ぐらいの配分となる。大阪では主に、お好み焼き屋ではお好み焼きが焼きあがるまでの間に皆でつまむサイドメニューとして、また鉄板焼屋や居酒屋ではいくつか頼む単品料理のひとつとして、「とん平焼き」は人気の一品なっている。

ロシア人が食べていたものをヒントに

このメニューが生まれたのは、大阪市北区・お初天神通り商店街にある「名物元祖とん平焼 本とん平」という店。創業者の主人が戦時中に捕虜としてロシアに抑留されていた時、現地のロシア兵が食べていたものを見て、帰国後それをまねて作ったのが始まりという。そのネーミングも、「豚を平たく焼いたもの」から「とん平焼き」と付けられたそうだ。

「本とん平」の「とん平焼き(800円)」は、豚のロースとチャップ(背肉)を卵とメリケン粉の生地でサンドして焼き、ケチャップ・マヨネーズ、マスタード、そして秘伝のソースで味付ける。創業から60年以上経った今も変わらぬ味が守られているのだ。なお、同店には豚ではなく牛ロースを使った「とん平焼き」(1,500円)もあるが、やはり豚の「とん平焼き」が人気である。

「とん平焼き」は大阪・梅田お初天神通り商店街のお店「名物元祖とん平焼 本とん平」が発祥

●information
名物元祖とん平焼 本とん平
大阪市北区曽根崎2-13-19

揚げ玉入りでサクサクの食感に

やはり発祥の店だけに、「とん平焼き」と言えば「本とん平」が最も有名だが、大阪市谷町九丁目にあるお好み焼き屋「もみじ」の「とん平焼き」も人気だ。

こちらの「とん平焼き」(530円)、見た目は玉子でクルリと巻かれたよくあるロール状のものだが、食べてみると豚肉が1枚肉ではなく細切れで入っているのが特徴。更にもうひとつの特徴として揚げ玉(天かす)が入っており、サクサクとした食感も味わえるところのがいい!

大阪市天王寺区にある人気お好み焼店「もみじ」。こちらの「とん平焼き」は揚げ玉(天かす)のサクサク感が人気

●information
お好み焼きもみじ
大阪府大阪市天王寺区生玉町9-19 谷町isビル 1F

ステーキ級の豚ロースがど~ん!!

また、ジューシーな豚肉のうまみをガッツリ味わいたい人には、大阪・梅田「どんたく」の「とん平焼き(800円)」がオススメ。

こちらのお店では、サーロインステーキぐらいの大きさの分厚い豚ロースを使用。これを炒めて、横の鉄板に敷いた溶き卵の上に乗せてクルリと巻く。味付けはソース、カラシ、マヨネーズ。とにかく豚肉の厚みが他店の「とん平焼き」の比ではなく、「ここのとん平焼きが最強!」という声も少なくない。また、「どんたく」はいかにも“大阪のオカン”的な気さく過ぎるお母さんも、名物のひとつと言えるだろう。

大阪・梅田の鉄板焼店「どんたく」のとん平焼きは、まず鉄板にドンと乗せられる肉の分厚さに目を奪われる

●information
どんたく
大阪府大阪市北区堂山町16-12

豚とキャベツに加え、ふわとろ卵の甘みによってお好み焼よりもまろやかな味わい。しかも、お好み焼き粉(小麦粉)の量が少ない(使わない店もある)ので、意外とボリュームは軽め。そんなところが女性にも大人気のB級グルメ「とん平焼き」なのである。