【インタビュー】

知育コンテンツ「dキッズ」の狙いとは? ドコモ執行役員の中山俊樹氏に聞いてきた

ドコモでは、2015年までの中期ビジョンとして「スマートライフのパートナー」の実現を掲げて、日常のあらゆるシーンで、利用者の生活をサポートする取り組みを拡充するとしている。この取り組みのひとつが、スマートフォン向けコンテンツ配信サービス「dマーケット」で提供する「dキッズ」だ。

dキッズは、ぬりえ、絵本、図鑑などの知育コンテンツを提供する子育て家族向けの知育サービス。11月29日に提供開始となったばかりのサービスだ。「良質なものを継続的にお届けしたい」というドコモの思いから、月額390円で使い放題の定額制が採用されている。今回、ドコモ 執行役員スマートライフビジネス本部の中山俊樹氏に、サービスの特徴や今後の展開などについて話を聞いてきた。

タブレット端末を手に取り知育コンテンツの配信サービスdキッズについて説明する、NTTドコモの中山俊樹氏

―― ドコモが教育分野に参入した背景を教えてください。

スマートフォンの急速な普及により、誰でも快適に映像・音楽などのデジタルコンテンツを利用できる環境が整いつつあります。ドコモではスマートライフのパートナーを実現する過程で、単にコンテンツを提供するだけに留まらず、生活に密着した分野でもサービスを提供できないかと考えました。教育においてどこまで貢献できるか、を形にしたのがdキッズになります。楽しんで使っていただく中で、学習効果も上げられる。そうした機会を提供することが、本サービスのテーマとなっています。

―― dキッズの特徴とこだわりについて教えて下さい。

ベネッセコーポレーションさん、小学館さん、タカラトミーさんといった知育アプリのジャンルで実績と経験の豊かなパートナーの方々にコンテンツを提供いただくことで、子どもたちにベストなものをお届けすることができます。良質なコンテンツを利用することで、楽しみながら学べる。親と子どもが一緒に学ぶことも可能です。ただ、大手コンテンツプロバイダーさんと言えども、タブレット端末で知育アプリを提供するという試みは、未知の部分が多い。したがって、子どもの受け取り方を考慮し、お母さんたちの声を取り入れるなどしつつ、サービスを進化させていけたらと考えています。

dキッズではサービス開始当初から、豊富なコンテンツが用意されている(写真左)。右の写真は、空間認識力を高める「しまじろうパーク」の利用イメージ(写真右)

―― タブレット端末を使う利点について教えて下さい。

これからの時代を担う「デジタルネイティブ」の子どもたちには、紙と同じ感覚でタブレット端末を使って欲しい、という思いがあります。例えばAR(仮想現実)を利用したアプリでは、塗り絵が画面の中で動き出します。これにより、紙の世界では実現できなかったことが体験できます。

塗り絵が画面の中で立体的になり動き出す「とびだす☆おえかき」では、子どもの想像力を高めることができる

―― デジタルネイティブに期待することは?

デジタルに対する感覚が、私たちの世代に比べてかなり鋭くなっています。近い将来、紙をめくるときにフリックしてしまう幼児が出てくる、などと予想する人もいます。幼い頃からタブレット、スマートフォン、ウェアラブル端末などに触れることで、産業、芸術など様々な分野において、新たな感覚を活かせるようになるのではないでしょうか。

―― コンテンツの対象年齢は?

対象年齢は0歳から9歳としています。いまのところ6歳前後のコンテンツが充実しています。年齢とコンテンツに触れる時間の関係は研究中です。現在、コンテンツひとつにつき30分前後で完結するようにしていますが、このあたりは試行錯誤の繰り返しです。幼い頃からデジタルコンテンツに触れさせることの弊害を心配する声があることも、私たちは認識しています。お父さんお母さんが安心して使えるような工夫を凝らし、常に改善を図っていければと思っています。

―― 現在のコンテンツ数は?

複数のカテゴリーを用意しておりまして、コンテンツの総数は220ほどになります。ユーザーの声を聞きながら、毎月70から80くらいのコンテンツを増やしていく予定です。

「間違い探し」は、親子で同時にプレイできるゲーム(写真左)。名作絵本が100冊以上収められている「森のえほん館」は、英語の音声にも対応している(写真右)

―― 今後の展開について教えて下さい。

dキッズを含め、dマーケットの中で、学べるコンテンツを拡充していく予定です。小学校高学年から中学生、高校生などに向けたコンテンツも用意したいと思っています。「学ぶ」ということは、人間の4番目の本能だという方もいます。向上心、知りたいという欲求は人間の本質的なものと言えるでしょう。学校は、これまでデジタルとは縁が遠い環境とされてきました。しかし、最近は変化が起き始めています。「反転学習」と呼ばれる教育方針はその最たるもので、家でデジタルコンテンツを利用して基本事項を学び、学校で知識を定着させるというスタイルをとります。黒板の前で先生が教えるようなことは、ビデオでも代用できる。タブレットを使えば、家でもできるわけです。学校では、たとえば理科の実験や国語の討論などに集中できます。これはモバイルとクラウドが揃って、初めて実現できることです。

一部の学習塾では、すでに取り入れる動きがあります。また大学の講義をオンライン環境で提供するMOOC(Massive open online course)なども、この流れをくんだものと言えるでしょう。生活の中の「学び」という大きな要素に、ドコモの提供するモバイルやクラウドが自然な形で貢献できれば、というのが私たちの願いです。

―― 本日はありがとうございました。

*  *  *

中山氏の話からは、ドコモが教育分野に情熱を注ぐ姿勢をうかがい知ることができた。デジタルが及ぼす(かも知れない)弊害にも配慮する、その慎重な取り組み方は好感が持てるものだった。dキッズにより幼少時から最先端の技術に親しんだ"デジタルネイティブ世代"は、果たしてどんな未来を築いてくれるのだろうか。20年後、30年後の世界が楽しみになる。

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