クロス・マーケティングは12月20日、主要3キャリアのiPhoneおよびAndrodスマートフォンを使った混雑時の通信速度調査の結果を発表した。東京、名古屋、大阪圏の計100地点において、ラッシュアワー時にダウンロード速度、Web表示時間を計測したもので、結果をまとめると、ソフトバンクがiPhone、Androidともにダウンロード平均速度でトップとなったほか、Web表示時間でもソフトバンクが最速だった。

同調査では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクのiPhone 5cおよび、2013年冬モデルのAndroidスマートフォンを用い、東京、名古屋、大阪圏の計100地点でダウンロード速度とWeb表示時間を計測した。なお、混雑時のネットワーク状況を把握するため、朝7時から10時、夕方17時から20時というラッシュアワー時に計測が行われた。ダウンロード速度は、回線速度測定サイト「BNRスピードテスト」を使い、各端末のダウンロード速度を3回ずつ計測し、平均値を算出した。また、Web表示時間は、「Yahoo! JAPAN」のトップページが表示されるまでの時間を3回計測し、平均値を算出した。期間は12月9日から13日。

iPhone、Androidのダウンロード平均速度はソフトバンクが首位

調査結果によると、東名阪100地点におけるキャリア別のダウンロード平均速度は、まずiPhoneではソフトバンクが首位となり、平均13.47Mbpsを記録。次いで、KDDIが平均9.31Mbpsで2位となり、ドコモは平均5.6Mbpsで3位という結果となった。また、Androidでも首位となったのはソフトバンクで、平均10.78Mbpsを記録。KDDIが平均10.27Mbpsという僅差で2位となり、ドコモは平均4.53Mbpsという差を開けられての3位だった。

東名阪100地点におけるキャリア別のダウンロード平均速度

東名阪100地点のダウンロード平均速度の分布を見てみると、まずiPhoneで10Mbps以上を記録したのは、ソフトバンクが100地点中82地点で最も多く、次いでKDDIが30地点、ドコモが3地点だった。Androidでは、10Mbps以上を記録したのは、ソフトバンクが100地点中57地点、KDDIが52地点、ドコモが1地点となった。とりわけ、ドコモはiPhone、Androidともに10Mbps以上となった地点が少なく、高速通信と言うには物足りない結果となった。

東名阪100地点のダウンロード平均速度の分布(iPhone)

東名阪100地点のダウンロード平均速度の分布(Android)

キャリア別の平均Web表示時間では、まずiPhoneについて、ソフトバンクが平均2.54秒と最速となり、次いでKDDIが平均3.66秒、ドコモが平均4.22秒となった。Androidでは、ソフトバンクが首位で平均2.51秒、2位がKDDIで2.67秒、3位がドコモで3.54秒となり、いずれもダウンロード平均速度と同様の順位となった。

東名阪100地点におけるキャリア別の平均Web表示時間

iPhone、Androidともにソフトバンクが最速、その理由を考える

東名阪100地点におけるラッシュアワー時のダウンロード平均速度が首位となったのは、iPhone、Androidともにソフトバンクだった。また、Web表示時間でもソフトバンクがiPhone、Androidともに最速だった。KDDIは、ダウンロード平均速度およびWeb表示時間に関して、iPhone、Androidともにソフトバンクに次いで2位となった。ドコモはダウンロード平均速度、Web表示時間いずれも3位となり、とくにダウンロード平均速度では他の2社に差を開けられる結果となった。

今回のクロス・マーケティングによる調査は、9月のiPhone 5s/5c発売直後に同社が実施した「全国500駅におけるiPhone 5c通信速度調査」に続くもので、前回もiPhone 5cのダウンロード平均速度で首位となったソフトバンクが、再び首位となり強さを見せた。また、前回は実施されなかったAndroidでもソフトバンクのダウンロード平均速度が最速であることがわかった。

要因としては、iPhone 5s/5c発売に合わせ、ソフトバンクが2.1GHz帯と1.7GHz帯で提供してきた「ダブルLTE」をそれぞれ下り最大75Mbpsに高速化した「倍速ダブルLTE」の提供したことに加え、AndroidでAXGP/FDD-LTEの両方の通信方式に対応した「Hybrid 4G LTE」が開始されたことの影響が考えられる。加えて、2014年春から提供される900MHz帯のプラチナバンドLTEにも期待が高まる。

KDDIはAndroidのダウンロード平均速度では、首位のソフトバンクと僅差となったが、iPhoneのダウンロード平均速度では、前回同様に差を開けられた。要因として考えられるのはKDDIの周波数帯であり、Androidが対応していて、iPhoneが対応していない1.5GHz帯が、おもにトラフィック対策として利用されていることから、今回のような調査エリアではiPhoneとAndroidで違いが生じたのかもしれない。

また、ドコモはiPhone、Androidともに3位と振るわず、前回のiPhone 5cの調査と同様だった。ドコモは先行してLTEを進めてきた事もあり、ユーザーが他社に比べ圧倒的に多く、今回のようなラッシュ時等には特にパフォーマンスが発揮できていないのかもしれない。

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2013年はiPhone 5s/5cが主要3キャリアから発売されたことで、各社のネットワークの優劣に注目が集まった。今回の通信速度調査ではソフトバンクが優位となったが、2014年も各社による様々なネットワークの取り組みを注視しておきたい。