MMD研究所は12月13日、主要3キャリアのiPhoneおよびAndroidスマートフォン(以下、Android)を用いた通信速度調査の結果を公表した。同調査は、全国の主要7都市140カ所で実施したもので、主要都市のダウンロード平均速度で最速となったのは両端末ともにソフトバンクだった。

今回の調査は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの主要3キャリアから冬モデルのAndroid端末が販売されたことを受けて実施したもので、2013年9月にMMD研究所が実施したiPhone 5cの通信速度調査の続編にあたる。調査が行われたのは、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の合計7都市140カ所、期間は12月6日から12日まで。

調査に用いたのは、3キャリアのiPhone 5sおよび最新Android端末で、Android端末はドコモが「Xperia Z1 SO-01F」、KDDIが「isai LGL22」、ソフトバンクが「AQUOS PHONE Xx 302SH」。通信速度の計測には「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを利用し、10時から19時の時間帯に同条件下で各端末3回の計測を行い、平均値を記録した。なお、調査地点でのLTE化率は3キャリアとも100%だった。

主要都市でのダウンロード平均速度はソフトバンクが最速に

結果を見てみると、まずiPhone 5sのダウンロード平均速度では、7都市平均でソフトバンクが25.72Mbps、ドコモが20.65Mbps、KDDIが20.21Mbpsとなり、ソフトバンク版のiPhone 5sが最も速かった。

全国主要7都市における各社iPhone 5s、Android端末の通信速度

各社iPhone 5sのダウンロードおよびアップロード平均速度

また、各社のAndroid端末のダウンロード平均速度では、7都市平均で首位となったのは、こちらもソフトバンクで26.62Mbps。次いでドコモが25.39Mbps、KDDIが22.22Mbpsという結果。iPhone 5s、Android端末ともにダウンロード平均速度が最も速いのは、ソフトバンクという結果となった。また、両端末ともに2位がドコモ、3位がKDDIという結果となっている。

各社Android端末のダウンロードおよびアップロード平均速度

このほか同調査では、各調査地点におけるダウンロード平均速度の結果を10Mbpsごとに6段階に区分けして、各社の通信速度の分布を調べた。それによると、まずiPhone 5sのダウンロード平均速度が20Mbps以上となった地点は、ソフトバンクが最も多く140カ所中94カ所で67.1%、次いでKDDIが61カ所で43.6%、ドコモは55カ所で39.3%だった。

各社iPhone 5sのダウンロード平均速度別スポット数の分布

また、Android端末では、ダウンロード平均速度が20Mbps以上となった地点は、こちらもソフトバンクが最多となり140カ所中97カ所で69.3%、2位はドコモとなり77カ所で55.0%、3位はKDDIで69カ所49.3%という結果だった。

各社Android端末のダウンロード平均速度別スポット数の分布

ソフトバンクは前回に続いて首位、ドコモは前回3位から2位にアップ

先述の通り、今回の調査は[2013年9月に実施されたiPhone 5cの通信速度調査] (http://news.mynavi.jp/articles/2013/09/27/research/ )の続編となる。前回の調査でもダウンロード平均速度で首位となったのはソフトバンクであり、「つながりやすさNo.1」をアピールする同社が今回も健闘し、iPhoneだけでなくAndroid端末のダウンロード平均速度でも強さを見せた。また、ソフトバンクは、20Mbps以上のダウンロード平均速度が出た地点についても3キャリアで最多となり、通信が最も安定していたと言える。

これには、ソフトバンクの2.1GHz帯とイー・モバイルの1.7GHz帯の「ダブルLTE」をそれぞれ下り最大75Mbpsに高速化した「倍速ダブルLTE」が提供されたことに加え、Android端末でAXGP/FDD-LTEの両方の通信方式に対応した「Hybrid 4G LTE」が開始されたことの効果が読み取れる。

ドコモは前回の調査では、ダウンロード平均速度が3キャリア中3位だったが、今回はKDDIを抜いて2位となった。また、ダウンロード平均速度が50Mbps以上の地点がiPhone 5s、Android端末ともに3キャリアで最多となる一方で、10Mbps未満の地点も最多となるなど、バラつきや不安定さも見られた。ダウンロード平均速度の順位が上がった要因としては、東名阪エリアで提供開始された下り最大150Mbpsとなる1.7GHz帯のLTEサービスの影響などが考えられる。

ダウンロード平均速度が3位となったKDDIは、前回の調査とほぼ同様の結果となった。iPhone 5s/5cの発売時には、プラチナバンドである800MHz帯を利用したLTEの優位性がアピールされたが、その後はネットワーク改善に関する話題が乏しく、ソフトバンクやドコモと比べると、やや見劣りする結果となったと言える。

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MMD研究所が実施した主要7都市における通信速度調査では、iPhone 5s、Android端末ともにソフトバンクがダウンロード平均速度で首位となった。同社は、前回のiPhone 5cを用いた通信速度調査でも首位となっており、「倍速ダブルLTE」やAndroid端末向けの「Hybrid 4G LTE」といったサービスが着実に結果を出している。また、ソフトバンクは2014年春からプラチナバンドの900MHz帯でのLTEサービスの提供を予定しており、こちらにも注目が集まる。ドコモがiPhoneの取り扱いを開始し、3キャリアの端末ラインナップが揃ったことで、今後はますます各社によるネットワーク競争が激しさを増すことが予想される。