そして最終第五局は、場所を将棋の聖地・将棋会館に移して開催される。プロ棋士側の大将を務める屋敷九段は「いつも対局している場所で、"ponanza電王"に挑戦させていただく。いつも通りいい将棋を指したい」とコメントし、対するponanza開発者の山本氏と共同開発者の下山氏は「電王に恥じないようponanzaに将棋を指してもらいたい」と意気込み十分。一方で、「(場所は)お城が良かったなあ」とつぶやいて会場を笑わせていた。

ファイティングポーズで睨み合うponanza山本氏(左)と屋敷九段

ponanzaの開発者・山本氏

ponanzaの開発者・下山氏

屋敷九段

ひと通りの表明が終わったところで、先手後手を決める振り駒が行われた。前回は川上会長が務めた振り駒だが、今回はなんとスペシャルゲストとして安倍晋三首相が登場。予想外の出来事に、ニコニコ生放送では驚きのコメントが弾幕となって画面を埋め尽くした。振り駒の結果、第一局はプロ棋士が先手となった。以降、先手と後手を交互に入れ替えながら第五局まで指すことになる。

安部首相のサプライズ登場にニコ生が湧いた

振り駒の結果、プロ棋士側が先手を獲得した

実は安部首相は超党派で結成された将棋文化振興議員連盟の所属議員であり、自らも趣味で将棋を指している。また、かつて党首討論などでニコファーレを利用したこともあり、「ニコニコ動画は私にとっても思い出深いホームグラウンド」だという。

「コンピュータには感情がなくて、淡々と勝ちに向かう。人間には感情も意思もあって、それが邪魔になるかもしれないが、だからこそ面白い。コンピュータも進歩しているが、プロ棋士はすごいなというところを示してもらいたい」(安部首相)

また、今回は特別協賛としてSCEJAと日産自動車、おやつ協賛としてローソンがスポンサーとなることが発表された。おやつ協賛の内容は、対局中にプロ棋士が食べるお菓子を提供するというもの。ローソンで販売している全スイーツから選び放題となる。

さらに電王戦では、団体戦としての勝敗以外にMVPを選出。選ばれたプロ棋士、もしくはソフト開発社には、日産自動車より日産エルグランドが贈呈される。さらに、ニコニコ生放送視聴者からも1名に日産デイズ ルークスがプレゼントされるという。

こうした賞品の数々に谷川理事は、「車がプレゼントされるのは初めてだと思う。ただ、棋士は免許を持っていない人も多い。教習所に行くよりも将棋の研究をしてほしい(笑)」とコメント。これを受けて、発表会後の質疑応答では記者からプロ棋士の運転免許の有無を尋ねる質問も飛び出した。

また、電王戦に先がけて、2013年大晦日には船江恒平五段とツツカナがリベンジマッチを行うことも発表された。

ツツカナ開発者・一丸氏に挑戦状を渡す船江五段

船江五段とツツカナは前回の「第2回 将棋電王戦」第三局で激突した対戦カード。結果はツツカナが勝利したが、その激戦ぶりは屈指の名局と賞賛され、電王戦でも最大級の盛り上がりを見せた。

川上氏は今回のリベンジマッチについて、「電王戦は1回だけの勝負になるので、優劣がついたかどうかは本来判断できない。しかし世間的にはそういうイメージができてしまったので、本当にそうなのかを検証する場を設定したいと考えていた」と企画意図を説明。発表会に登壇した船江五段も「お話をいただいたときは自分がもう一度出ていいのか悩んだが、もう一度指したいという気持ちがあったので話を受けた。プロ棋士は勝たなければならない。勝って信念を迎えたい」と闘志を燃やす。

果たしてリベンジマッチの結果はどうなるのか

二度目にして最後となるリベンジマッチは、2013年12月31日10:00、原宿のニコニコ本社にて行われる。

このほか、発表会では第2回将棋電王トーナメントが来年11月1日から3日間にわたり開催されることが発表となった。こちらは電王戦とは違い、コンピュータ将棋のみの大会となる。