企業がコーポレートサイトを持つようになってすでに20年近く経ち、今では中小企業から個人商店まで、多くの事業者が自身のビジネス用のコーポレートサイトを持つのは当り前になっています。さらにここ数年、企業は、特に力を入れたい商品や、企業の認知度を高めるなど、目的特化型のスペシャルサイトと呼ばれる専門サイトを設けるようになってきました。

これから話していくスペシャルサイトとは、従来の「見やすさ・分かりやすさ」に配慮されたコーポレートサイトとは異なり、映像・写真などを大きく使い、音楽や画面演出で世界観を構築し、時にはタレントを使い話題性を作り、サイトに訪れるユーザーにエモーショナルな印象を与えることを目標として制作されたWebサイトです。コーポレートサイトが重視する「情報提供」とは異なり、スペシャルサイトではユーザーの「体験の提供・共有」が重視されることが特徴として挙げられます。

それでは、なぜスペシャルサイトを作るのか? いくつかのスペシャルサイトの事例をご覧いただきながら解説していきます。

NEXT A-Class|メルセデス・ベンツ日本公式サイト

言わずと知れた、憧れの高級車メーカー「メルセデス・ベンツ」のプロモーションサイトで、日本を代表するアニメーション制作会社「Production I.G」と、かの有名なエヴァンゲリオンを出がけたキャラクターデザイナー、貞本義行氏を含む豪華スタッフのコラボレーションで制作されたサイトです。 このサイト内で公開されている動画は、開設から20日程度でYoutube再生回数200万回を突破し、アニメという媒体を使った事で、車離れが著しいと言われる若者層に、「メルセデス・ベンツ」のスタイリッシュなイメージを浸透させることに貢献しています。

Volkswagen The Beetle

こちらは、先ほどのベンツとは違い、プロモーションサイトというよりは、製品専用サイトです。当然、VolkswagenのコーポレートサイトにもBeetleの製品ページは存在しますが、このサイトは「thebeetle.jp」という、Volkswagenとは分離した、独自のドメインを持つことで、Volkswagenのコーポレートサイトの体裁にとらわれることなく、Beetleという車の世界観を重視したサイト作りを徹底することができます。

さらに、このサイトでは、タレントの所ジョージさんを起用し、所さんのキャラクターとThe Beetleという車の一風変わった独特なイメージをコラボレーションさせ、The Beetleの個性的な印象を際立たせるのに成功していると言えるでしょう。

ルジェ カシス(LEJAY CASSIS) | サントリー

カクテルの材料としては定番のカシスの公式サイトです。こちらは、サントリーのコーポレートサイトの中で、独自色を出して製作されています。コーポレートサイトの中には、ヘッダー・フッター・ロゴマークなどのレギュレーションを定め、その中の製品ページについては、個々の製品の世界観に合わせるようなサイトも多く存在します。イメージ的には、大型ショッピングモールのような感じで、ひとつのフロアに様々な世界観があって、コーポレートサイト自体がエモーショナルな体験を与えてくれます。

そうすることで、単調になりがちな製品サイトにおいて、ユーザーを飽きさせることなく、製品ラインナップや、カシスを使ったカクテルレシピの紹介を見せることで、情報を「見せる」のではなく商品を「魅せる」ことによって、ユーザーの「買いたい」衝動を呼び起こすわけです。また、このサイトは最近流行になっている表現手法で、ひとつの縦長のページで、スクロール位置がビューに収まる範囲内でインタラクションが発生します。

映画『アップサイドダウン』公式サイト

大ヒット映画『スパイダーマン』(2002年)のキルスティン・ダンストがヒロインとして出演したことで、日本でも話題になった映画の公式サイトです。大手企業がプロモーションサイトを展開させる意図とは違い、映画やゲームなど、製品そのものが作品色が強く、世界観が特に重視されるようなプロダクトに置いては、スペシャルサイトのように、エモーショナルな「体験」を重視したサイト作りが望まれます。そうすることによって、ユーザーはその作品に触れる前に、サイト上で作品の世界観を予習することが出来るので、その後の購買行動にすんなりと以降できるのです。