去る11月8日、2013国際ロボット展が行われていた東京ビッグサイトの会議棟で、NPO法人ロボティック普及促進センターの主催による、軍事用も含めた無人機に焦点を当てた講演「ロボティック・シンポジウム」が開催された。民生用の無人機の開発や、国際的な法制度に関する話も行われたが、今回はその中でも、防衛省・自衛隊の研究開発中・または配備済みの無人機を題材とした「防衛省における無人機研究の取り組み」と、海外の軍隊が保有する軍事用無人機を題材とした「諸外国の軍事用ロボットの概要」の2つを扱った2つ目の講演「軍用無人機の研究開発動向」をピックアップしてお届けする。

無人化、つまり、従来は人が操縦していた乗り物のロボット化技術が進んでおり、日本において身近なところでは自動車の自動運転技術が高度化している。もはや、高速道路などの限定した環境の中では、前走車に追随して速度制御するだけでなく、ステアリング操作すら行ってくれるレベルになってきているのは、以前、「第20回ITS世界会議 東京 2013」の公道デモなどのリポート記事でお伝えした通りだ。

そして、軍事用途でも無人化は進んでおり、特に米空軍が「グローバルホーク」や「プレデター」など、多数の無人偵察機・無人偵察攻撃機を配備しており、アルカイダなどとの対テロ戦争に導入されて活躍している一方で、民間人に対して誤った攻撃をしてしまうなど、問題も露わになってきている。また、中国も米国に次いで無人機を保有し、つい最近も尖閣諸島にも同国の無人機が飛来したとされ、話題になったことを覚えている人も多いだろう。

今回のロボティック・シンポジウムでは、大きく分けて3つの分野「無人機の開発と実用化の動向」、「軍事用無人機の研究開発動向」、「軍事用無人機の国際的な精度と規範形成のトレンド」が扱われた。その中で、冒頭でも述べた通り、「軍事用無人機の研究開発動向」をピックアップしてお届けする。「防衛省における無人機研究の取組み」と「諸外国の軍事用ロボットの概要」の2本立てである。

また今回の講演でいう無人機とは、無人航空機(UAV:Unmanned Air Vehicle、ドローンとも)、無人車両(UGV:Unmanned Ground Vehicle、ロボットカーとも)、無人船舶(USV:Unmanned Surface Vehicle)、無人潜航艇(UUV:Unmanned Underwater Vehicle、AUV:Autonomous Underwater Vehicle)のすべてを含む形だ。

それから「諸外国の軍事用ロボットの概要」からの抜粋だが、米国防省の適宜するところの軍用無人機としての定義は、無人機=Unmanned Vehicleは、人間が登場せず、自律的または遠隔的に運用され、回収可能かまたは消耗的に使用され、「動力ケーブルや信号ケーブルなし」で自ら移動でき、かつ、平気を搭載可能なビークル(車両、水中・水上航走体、飛翔体)のことをいう。ただし、この中には弾道または準弾道ビークル、巡航ミサイル、知能砲弾、魚雷、(インテリジェント型の)機雷・地雷、衛星、無人センサ(推進装置がないもの)は含まれない(防衛省・自衛隊ではここはまた別の考え方があると思われる)。

さらに無人機システムの特徴だが、3D(Dangerous、Dirty、Dull(退屈))環境に有効な兵器、すなわちテロリストとの戦闘に強いことがまず挙げられる。当然、友軍兵士の死傷者数を大幅に低減できること、標的に近接して正確な情報収集が可能なことから周辺住民などへの危害を局限できること(ただし、後述するが、誤射やオペレータがゲーム感覚で戦闘を行えることなどの問題もある)、機動性および敵地への展開製が迅速なので戦闘の拡大を阻止できること、すべての戦闘環境・戦闘活動・戦闘領域で運用可能なこと、としている。