スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「マルチタッチ液晶の表面素材」についてです。

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スマートフォンにとって、タッチパネル液晶の搭載は必須条件ともいえるものです。表示装置としてだけでなく入力装置としての機能も兼ねるため、その表面を覆う素材も入念な検討のうえ選択されています。

タッチパネルには複数の方式がありますが、スマートフォンではおもに静電容量方式が採用されています。かつてモバイル端末では抵抗膜方式(感圧式)が主流でしたが、スマートフォンでは多点検出(複数の指の位置の検出)が求められるため、抵抗膜方式では不都合が生じます。

そして静電容量方式のタッチパネル液晶は、ユーザの指が直接ふれるだけに高い美観と質感が求められます。現在のところ、キズのつきにくさ(硬質性/耐傷性)や汚れの拭き取りやすさからガラスが最適とされ、採用事例の多さでは軽さで有利なアクリル樹脂を大きく引き離しています。

SONYやNokia、Appleなど多くのメーカーのスマートフォンに豊富な採用実績を持つガラス素材には、米コーニング社の「ゴリラガラス」を挙げることができます。素材にアルカリアルミノ珪酸塩を利用した化学強化ガラスで、プラスチックの数十倍ともいわれる強度を持ちます。初のAndroid 4.4(KitKat)採用スマートフォン「Nexus 5」には、最新の「ゴリラガラス3」が採用されています。

2011年には、日本の旭硝子も化学強化ガラス「Dragontrail」を発表しました。通常のガラスの6倍ともいわれる強度を持ち、有害物質である鉛やヒ素をまったく使用しない点が特徴です。すでにNECの「Lavie Tab W」や富士通の「LIFEBOOK AH77/M」など、タブレット/ノートPCに採用されているほか、公式発表はないものの、スマートフォン(Xperia Z?)とタブレット(iPad2?)にも採用されているといわれています。

写真で解説

11月発売の「Nexus 5」には、最新の化学強化ガラス「Gorilla Glass 3」が採用されています

(記事提供: AndroWire編集部)