プロファイリング、という言葉があります。その意味は、現場に残された状況をもとに、統計的な経験・犯罪データ・心理学の両面から人種・年齢・生活態度などを推測し、犯人像を特定していくことです。アメリカのテレビドラマ『クリミナル・マインド』は、そんなプロファイリングをおこなう捜査官を主人公にしていますが、現実にもアメリカの連邦捜査局が取り入れています。けれども、プロファイリングはけっして犯罪に関係しておこなわれているわけではありません。ボクは普段、タイの大学で教員をしていますが、文学に登場する人物をその作品における言動からプロファイリングして、研究や授業をおこなっています。ここでは、そんなプロファイリングの方法を使いながら、スマートフォンからうかがえる心理や性格などを探っていきたいとおもいます。今回は25歳の女性Dさんのホーム画面を解析します。

DさんのiPoneのホーム画面全4枚

1枚目

2枚目

3枚目

4枚目

プロファイリングと解説

さて、まずは今回のiPhoneのホーム画面1枚目に注目しましょう。みなさんは、どこに注目するでしょうか? ここには、3つのポイントがあると思います。

ホーム画面1枚目

一つ目は、メッセージ・LINE・KakaoTalk・DrawingTalkというメッセージ系アプリが多いということ。しかもそれが、画面上部に配置されています。ひとは無意識のうちに、大事なものを上部に置いてしまう傾向があります。そのことから、この人物は他者とのコミュニケーションを大事にし、よく連絡を取り合うということがわかります。

けれども一方で、SNS系アプリがツイッターしかありません。これが2つめです。つまり、FacebookやInstagramのように誰かに自分をアピールしたいというアプリがないことから、いわゆる「かまって系」ではなく、すでに友達関係にあるひととのつながりを大事にする人物だと思われます。

そして、3つめは壁紙です。iPhoneはAndroidにくらべてカスタマイズ性が低いわけですが、そのなかで自由に変更できるのが壁紙です。この人物は、空の写真を使っています。それも、雲より高い空、見上げるのではなく同じ高さですよね。いまの自分に満足せず成長したいという気持ちがあるのでしょう。そしてそれは、抽象的なイメージなのではなく、なにか目標がすでに決まっているのかも知れません。あこがれではなく、実際に努力しているのだと思います。

つぎに、ホーム画面3枚目に注目しましょう。アプリが種類ごとに整理されています。きっちりした性格なんでしょうね。その一方で、アプリが削除できずにいるわけです。そのため、フォルダーにわけているわけですが、几帳面であるにもかかわらず捨てられない性格。アンビバレンスな性格の持ち主といえそうです。そして、あんがいとゲーム系アプリが多いことに、ここで気づかされます。普段は平気でも、ふとした瞬間やじつはひとりでいるちょっとした時間を、寂しいと感じやすいのかもしれません。その時間をつぶすために、ゲームをしているのでしょうか。ファストフードだけではなく、レシピアプリもあることから、ひとり暮らしなのかもしれませんね。

ホーム画面3枚目

ホーム画面2枚目には、ニュース系アプリがフォルダーされています。右上に表示される通知の数字が1であることから、こまめにチェックしているのかもしれません。けれども、この人物はメモ系アプリもオフィス系アプリが、一切ありません。仕事や学業でiPhoneを使いこなしているわけではないのでしょう。通知の数字が1なのは、几帳面な性格ででるたびに消しているのでしょうね。

ホーム画面2枚目

このタイプの女子と恋愛をするなら……

いかがでしょうか。このようにして考えると、次のような人物像ができあがりませんか。ひとり暮らしの学生、もしくは社会人。几帳面だけれども優柔不断。そして、じつは寂しがり屋で、ひととのつながりを大事にし、ひととつながっていたいとおもっている。

もし、こういうタイプの女性と恋愛をするのなら、誠実に向き合うことが大事です(もちろんすべての恋愛にいえますが・・・・・・)。そして、まめに連絡をとるようにしましょう。電車の待ち時間など、ちょっとしたときにもメッセージを送りましょう。そして、彼女との絆を結んでいきましょう。いくら寂しがり屋とはいっても、甘い言葉をささやいてもダメです。彼女は自分をちゃんとみてくれるひと、外面ではなく内面をみてくれるひとを求めています。彼女の人間性をみて、誠実に接しなくてはいけません。きっちりしているのに優柔不断な彼女は、当然浮気なんて許してくれません。かといって優柔不断なので、わかれられずにズルズル。でも、許せない。もしかしたら、修羅場がやってくるかもしれません。

平松隆円…化粧心理学者/大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響をよんだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。