沖縄と聞いて最初にイメージするものは何だろう。青い空にエメラルドグリーンの海だろうか。それとも美ら海水族館だろうか。筆者は泡盛を思い出す。泡盛をつくる酒造所は沖縄本島以外に離島にも存在するが、有人島で最南端の波照間島には「幻の泡盛」をつくる酒造所がある。その泡盛の名前は「泡波」だ。

希少価値の高い「泡波」

波照間島は石垣島から船で60分ほどのところにあり、人口537人(2013年10月現在)の小さな島である。泡波をつくる波照間酒造所は島の集落にあり、60年前に創業。製造量が極端に少ないために、泡波は幻の泡盛と呼ばれているそうだ。

波照間島のニシハマビーチ。シュノーケリングでリーフエッジまで行くと、カクレクマノミをはじめとした熱帯魚が間近に見える。ビーチには木陰がないので、焼きたくない人は日焼け止めが必須

泡波を振る舞ってくれる民宿

民宿「けだもと荘」。1泊朝食付きで2,500円。外で夕食を済ませて戻ると、屋外のゆんたく場でゆんたくが始まる

なかなか市場に出回ることがない泡波だが、これを飲む方法がある。それはズバリ、波照間島の民宿に泊まること。波照間島の民宿では夜の「ゆんたく」の時間に泡波を振る舞ってくれる宿があり、ただで飲むことができる。筆者が泊まった「けだもと荘」でも無料で出してくれた。ただし飲めるのは、ご主人が在宅のときだけだ。どうしても飲みたいならば、予約の電話をする際に「泡波は飲めそうですか」と聞いてみるとよいだろう。

ちなみにゆんたくとは、沖縄の方言で「おしゃべり」という意味。泡盛を囲んで旅人同士が会話に花を咲かせる離島旅行に欠かせないイベントだ。

お土産として泡波を本土に持ち帰りたかったら、波照間島の「ホテルオーシャンズ」に宿泊するとよい。ホテルに在庫があれば、宿泊者には600mlのビンを3,000円で売ってくれる。石垣島で買おうとするとさらにプレミアが付いて4,500~5,500円くらいになる。本土では1万円近い値段で売っているところもある。また、運が良ければ島内にある共同売店でも購入できる。売店では600mlのボトルが1,000円程度、100mlのミニボトルは320円が相場のようだ。

こちらが「泡波」。600mlが共同売店では1,000円程度、ホテルオーシャンズでは3,000円、石垣島では4,500~5,500円程度で購入できる。本土では1万円近い値段で売っているところもある。まさに幻の泡盛だ

肝心の味だが、やや雑味があるものの、淡くて飲みやすいという印象。また、味に太みがあり、後口はすっきりとしている。幻の泡盛の名に違わぬ名酒・泡波、ぜひ一度ご賞味あれ。