2020年の東京オリンピック開催が決まった日本。オリンピックで多くの外国人観光客の来日が予測されることや"観光立国"実現のためにも、受け入れる日本側の態勢整備が急がれている。そんな中、外国人観光客のためにさまざまなサービスを行っている企業や自治体なども存在する。今回は、すでにこうした取組みを行っていたり、これから受け入れ態勢を整備しようとしたりしている企業・公共団体を紹介したい。

外国人が旅行中、困ったことの第1位は 「無料公衆無線LAN環境」

2011年に観光庁が外国人観光案内所を訪問した外国人旅行者を対象にしたアンケート調査によると、外国人旅行者が旅行中困ったこととして、最も多かったのは、「無料公衆無線LAN環境」(36.7%)、次いで「コミュニケーション」(24.0%)、「目的地までの公共交通の経路情報の入手」(20.0%)、「両替・クレジットカード利用」(16.1%)などが多かった。

最も回答が多かった「無料公衆無線LAN環境」の整備については、企業や自治体などで、すでにさまざまな取組みが行われている。例えば新潟県では、新潟観光コンベンション協会とNTT東日本新潟支店が9月24日から、観光活性化を目的として、新潟市の自然、及び観光資源とNTT東日本のフレッツ光回線を用いたWi-Fiサービス「光ステーション」等の両者が持つリソースを活用して新潟市エリアや周辺地域の魅力を向上する「新潟 まちなか Wi-Fi化計画」について協同で展開を開始した。同計画では、外国人観光客向けWi-Fi接続サービスを無料で提供。日本短期滞在の外国人観光客を対象に、光ステーション提供エリアにおいて、キャリアフリーでWi-Fiインターネットが14日間無料で接続できる「ID/PASSカード」を配布。同カードは、「新潟駅万代口観光案内センター」「新潟駅南口観光案内センター」「新潟市観光情報館」の3箇所で配布している。光ステーションは、新潟市内で800箇所以上施設・店舗に設置されているという(2013年8月31日現在・順次拡大中)。

また、全国的な取組例では、セブン&アイ・ホールディングスが、グループのセブン-イレブン、イトーヨーカドー、そごう・西武、デニーズ等の店内で無料Wi-Fiサービス「セブンスポット」を提供しており、2012年12月1日から全国の10,000店舗以上に拡大している。小売業主体のWi-Fiサービスとしては国内最大規模という。

目的地までの行き方をもっと分かりやすく

外国人旅行者が旅行中困ったことの第3位となった「目的地までの公共交通の経路情報の入手」については、国土交通省が、改善を推進中だ。"観光立国"実現へ向け、同省は全国に対象拠点を決め、道路案内標識の英語表記を点検し、積極的な改善を行なっていく予定としている。そうした拠点は、以下の通りとなっている。

また、民間では、JTBグループで観光プロモーション事業などを手掛けるJTBコミュニケーションズとジェーシービー(JCB)が、訪日外国人向けに東京の観光施設やショッピング、レストランの情報を紹介するスマートフォンアプリケーション「TOKYO ENJOY NAVI」を開発し、9月30日にサービスを開始。

「TOKYO ENJOY NAVI」は、東京の観光施設、ショッピング、レストラン、美容・健康専門店などの情報やお祭り・イベント情報、また、JCBの優待店情報などを提供。各情報は、様々なジャンルやエリアでの検索が可能で、GPS機能と連動したマップ上で現在地付近のスポットを調べることもできる。対象言語は、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語となっている。

不満の一つ「両替・クレジットカード利用」では、セブン銀行ATMが活躍!

16.1%の外国人旅行者が困ったこととして挙げた「両替・クレジットカード利用」に関しては、セブン銀行のATMが多くの場所で活躍している。セブン銀行のATMでは、海外発行カードであっても、下記のマークのあるキャッシュカードやクレジットカードで日本円が引き出せるようになっており、外国人旅行者の強い味方だ。ATM画面、利用明細票、音声は、英語・韓国語・中国語・ポルトガル語の4カ国語に対応。セブン銀行ATMは全国のセブン-イレブンをはじめ、空港、駅、様々な商業施設など身近な場所に18,900台以上設置されており、原則24時間、365日利用できるため便利だ。

※海外で発行されたMasterCardブランドのキャッシュカード及びクレジットカードによるセブン銀行ATMでの日本円の引出しサービス、残高照会サービスについては、2014年1月10日(金)よりサービスを再開する

外国人観光客の多い東京都・浅草にあるセブン-イレブンに設置されているセブン銀行ATMも、多くの外国人が利用している。浅草で観光用の人力車の車夫をしている男性によると、外国人から「セブン銀行はどこ?」と聞かれることも多いといい、ATMに外国人が列をなして並んでいる場面もたびたび見かけるという。

 東京・浅草の名所、雷門(提灯は修理中)と、すぐ近くにあるセブン-イレブン

セブン-イレブンでATMを利用した外国人観光客に話を聞いてみることにした。タイから来た2人組の男性は、「セブン銀行ATM」の看板を見て、ATMがあることを知って来店。2人は学生といい、4日間の日程で日本に観光に来たという。持っているカードにはタイ語が書かれてあったが、VISAのマークがあり、スムーズに使えた様子。

タイから来た2人組の男性。持っているカードにはタイ語が書かれていた

次にやってきたのは、若いイギリス人男性のBen Murdochさん。子どものころから日本にあこがれていたといい、そのために貯金をして今回、初めて来日したそうだ。12日間の滞在予定で、VISAマークのあるクレジットカードを使ってすでに6回もセブン銀行ATMを使っていた。海外発行カードがセブン銀行ATMで使えることをどこで知っていたか尋ねると、「日本に来る前に、ガイドブックを見て、セブン銀行ATMが最も使いやすいと知っていた」とのこと。実際使ってみた感想を聞いてみると、「ガイドブックで見た時はなんとなく難しそうなイメージがあったが、すごくシンプルで簡単だった」と満足そうだった。

イギリスから来たBen Murdochさん。取材した時点で、すでに6回もセブン銀行ATMを使っていた

2020年の東京オリンピック、こうした取組みが進んでいけば、多くの外国人が"日本ファン"となってくれそうだ。