iPhoneやiPadなどで利用できる「ビューン」というサービスがある。雑誌や新聞、テレビニュースなどのコンテンツがアプリ内で安価に楽しめるというもので、2010年6月にサービスがスタートしている。

これまでは月額400円を支払うことでビューン内の雑誌や新聞が一定期間読み放題になるシステムが主流だったビューンだが、今回新たに雑誌をまるごと1冊購入できるサービス「ビューン全部読み」がスタートした。いったいどんなサービスなのか、そして雑誌ライフがどんな風に便利になるのか、実際にiPad miniでビューンを利用してみることにした。

雑誌、増えたねえ

まずビューンを起動して驚いたのは、そのコンテンツの数だ。サービス開始当初は31コンテンツだった雑誌や新聞が、現在は64コンテンツと倍以上に増加している。コンテンツの拡大は電子書籍系アプリの最重要ポイントであり、数をしっかりと増やしてきている運営姿勢にまず好感を持てる。「おそらく今後も増やしてくれるんだろうな」と期待が持てるからである。

iPad miniで見るビューンのインターフェースはシンプルだ。右上にテレビニュースが動画で、それ以外は雑誌や新聞の最新号の表紙がずらりと並んでおり、タップすることでダウンロードを開始する。スワイプによるサムネイルの動きもスムーズで、一世代前のスペックであるiPad miniでも不満を感じることはない。

リストアイコンをタップで出現するメニューはまとまっていてわかりやすい

サムネイルだけでなく雑誌名もちゃんと表記されているし、新刊には「新刊」マークがつくなどわかりやすい。一度読んだ雑誌にはチェックマークがつくのも地味に便利だ。雑誌名のところに「全読」という赤いラベルがあるものが、今回のサービス「全部読み」の対象商品となる。

まずは「全部読み」の前に、従来からの「読み放題」をチェック。雑誌のサムネイルの中から「MacFan」をタップしてみよう。すぐに表紙が表示され、スワイプするとスムーズにページがめくれていく。実はこれ、バックグラウンドでページを高速にダウンロードしているのだ。ダウンロードが全部終わらないと読めないなんてこともなく、読み進めているうちにいつの間にかダウンロードは完了していた。ピンチイン・ピンチアウトによる拡大縮小もスムーズだし、見開きにもばっちり対応している。にしても64コンテンツって……全ページ公開ではないとはいえ、これで本当に儲かるの? と心配になるくらいの太っ腹っぷりだ。

ダウンロードも速くてさくさく読める

おっと、「読み放題」の"デキるやつ"っぷりに感心して、今回の目玉となる新サービスの紹介が遅れてしまった。

そう、「ビューン全部読み」だ。

これは「読み放題」とは違って、雑誌をまるごと1冊購入することができるサービス。前述した通り、雑誌名の表記に「全読」とラベリングされている15コンテンツが対象となっている。購入したコンテンツはアプリ内の本棚で管理できる。

わかりやすく言うと、「読み放題は月額400円で64コンテンツがすべて読み放題になる。ただし、一定期間がすぎると読めなくなる(普通に雑誌を買って、読み終わったら捨てるような感覚)」であり、「全部読みは1冊単位で購入することで、そのコンテンツを永久に読めるようにしておける(お気に入りの一冊を捨てずにとっておくような感覚)」というわけだ。両者の違いがわかっていただけただろうか。

さっそくMacFanを購入

]すると本棚にMacFanが追加された。一度購入すれば閲覧期限はない

たしかに旬な情報を扱う雑誌や新聞は後から読み返すことがあまりないので、基本的には「読み放題」でも困らない。しかし、そうはいってもやっぱり手元に残しておきたい特別な号というのもたまにあるのだ。そんなとき、これまではリアルで紙の雑誌を別に購入するしかなかったのだが、「全部読み」ならその必要もなくなるのである! 「全部読み」というだけあって、内容も紙版とほとんど同じだ。これは嬉しい。雑誌好きにはたまらないサービスだ。

そしてもちろん、「読み放題」と「全部読み」は両立するサービスでもある。通常は月額課金の「読み放題」で64コンテンツを読みまくり、中でも気に入って手元に置いておきたい、あるいは中身を余さず全部読みたいという雑誌だけ、「全部読み」で購入するという使い分けである。

で、嬉しいのは、このとき「読み放題」の会員になっていると、「全部読み」での購入金額が大幅に割引されること! 割引率はものによっても変わってくるのだけど、たとえばMacFanなら印刷版が890円のところ500円と43%引きになるのだ。これなら月額400円支払ったって900円。紙版のMacFanをほぼ同額で購入でき、さらに60以上の雑誌の読み放題がついてくるということなのだ。いかにお得かがわかってもらえると思う。

もうひとつ、知らないうちに始まっていて驚いたのが「ビューン・コミック」だ。これは「読み放題」のコミック版ともいえるサービスで、名作コミック約400冊が月額400円で読み放題になるもの。「男の浪漫パック」と「俺の青春パック」の2種類があり、「サラリーマン金太郎」や「俺の空」「キャプテン」、「女帝」「美悪の華」といった往年の名作がずらりと並んでいる。「男の浪漫パック」は47作品、「俺の青春パック」は46作品が用意されていて、こちらも急速にラインナップを拡大中である。通常の雑誌版ビューンと同じアプリ内で管理できるのが嬉しいね。ぜひこのままの勢いでいろんなパックを出していってほしい。

ビューン・コミックもスタートしている。こちらはまんが好きにぜひ

「読み放題」に加えて「全部読み」が登場し、ユーザーの利用の幅が広がったビューン。雑誌好き、コミック好きなら絶対におさえておくべきサービスに成長したといえそうだ。