【レポート】

JALのグランドスタッフがおもてなし。4500人の頂点を競うコンテストに潜入!

本選の「カウンターチェック審査」は、スクリーンにも映し出しながら全員の前で実技を行う。乗客役はJAL社員

航空会社の顔といえば、客室乗務員(CA)をイメージする人も多いだろう。しかし、私たちが空港で初めに接するのはグランドスタッフ(GS)だ。その航空会社の印象とともに、これからの空の旅への気持ちもGSにかかっている、と言っても過言ではない。JALは国内・海外合わせた約4,500人のGSの中から、最上の「おもてなし」をするナンバーワンのGSを決めるコンテストを実施している。

予選と本選で2日間実施

「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」は今年の2月に初開催され、2回目となるコンテストは11月13日に行われた。今回は8月から全国各地で予選を実施し、北海道から沖縄までの38空港から47名が参加。JAL入社2年目の若手から10年以上にもなるベテランまでがそろい、約4,500人の頂点を競った。

コンテストそのものは、日ごろの成果を発揮してナンバーワンを決定することよりも、他のGSがどのようなサービスを展開しているのかを知り、「一人ひとりがJAL」という意識を共有、各空港に持ち帰って現地GSに根付かせるための、いわば「勉強会」のスタンスをとっている。とはいえ、空港を代表して実施するコンテストとなれば、GS本人はもちろん、代表GSを応援する空港の仲間にも俄然(がぜん)気合いが入る。

代表GSへの応援メッセージ。会場には応援に駆けつけた空港の仲間も!

コンテストは予選と本選とで、2日に渡って実施する。予選では、全員の前でアナウンス実技を行う「アナウンス審査」とグループに分かれて行う「カウンターチェック審査」を経て、本選に出場する10人を選出。本選では1日目の予選同様、「アナウンス審査」と「カウンターチェック審査」を行うが、悪天候や欠航などイレギュラーの場でどう適切に対応できるかを試すシチュエーションを用意している。

福岡空港の片山佳恵さん

福岡空港の田中由美さん

羽田空港の西田百合香さん

羽田空港の金山花生さん

伊丹空港の西岡英里さん

長崎空港の堀口梨菜さん

新千歳空港の小林徳子さん

徳島阿波おどり空港の石川恵さん

関西国際空港の石井里佳さん

成田国際空港の吉田りえさん

予選ではGSの教育などを担う教官が審査員となり、身だしなみも含めた全体的な印象、サービススキル、適切なアナウンス力など、各項目に分けて評価する。一方、本選では教官に加え、帝国ホテルやオリエンタルランド、アメリカン航空の社外審査員、そして、予選に参加したGSも投票する。本選では特に、「またJALを利用したいと思わせられるか」ということが大きな評価ポイントとなる。

本選は、帝国ホテルやオリエンタルランドなどの社外審査員も加わる

身だしなみを整え、いざ審査へ!

台風で飛行機が遅延……どうする?

本選で行われた「カウンターチェック審査」では、台風というイレギュラーシチュエーションを設定。国内・国際線で遅延・欠航が発生している中で、国内線のGSは羽田発新千歳行き、国際線のGSは羽田発香港行きに搭乗する乗客の対応が求められた。

シチュエーションは統一されているものの、乗客の状況や乗客が求めるサービスはそれぞれ。重量オーバーの機内持ち込み手荷物を携えた乗客にどうやって説得させるか、また、「タクシーで急いできたので、タクシー代を払ってほしい」というような無理な要望や、「空港で仮眠できる場所はありますか?」という空港案内を求める乗客の対応など、各自が瞬時に判断して対応しなければならない。

「機内に持ち込みたい」という荷物は重量オーバー……

心地よいサービスは笑顔から

審査では、限られた時間内で適切に案内するのみならず、言葉とともに表情で伝えること、また、「台風の影響でお荷物などは濡れていらっしゃらないでしょうか」などと、乗客が不安に思っていることや求めていることをくみ取る、「寄り添ったサービス」も垣間(かいま)見られた。確かに、台風で不安を感じながら空港に訪れた人にとって、こうしたGSの心遣いには、安心以上の温もりを感じるだろう。

緊張の審査を終え、自然に笑みがこぼれていた

審査の合間時間の様子。メモを取りながら審査を見つめるGSもいた

他のGSが憧れる「Service Adviser」

結果発表の開始時間を押してしまうほどの議論を経て、4,500人の頂点に選ばれたのは、2007年入社で福岡空港勤務の片山佳恵さん。「先輩方の後ろ姿を見て学び、最初は真似事をしていました。ですが、今は自分のやり方ができていると思っています。お客様に寄り添いたい、もっと寄り添わせていただきたいです。『私に接客されたら、絶対笑顔で出発できる』と言ってもらえるようなおもてなしをし、(「顧客満足 No.1」を目指すJALのひとりとして)絶対世界一になります」とコメントした。

優勝した片山さん。同じ福岡空港勤務の田中さんと喜びを分かち合う

左から)準優勝の堀口さん、優勝の片山さん、丸川潔・空港本部長、準優勝の西田さん

予定では1名だった準優勝は、接戦ゆえに急遽(きゅうきょ)2名になった。準優勝となった長崎空港勤務の堀口梨菜さんは、2012年入社の2年目社員。名前が呼ばれると、びっくりするとともに涙を見せた。「緊張しましたが、自分の良さを出すことができたと思います。コンテストで学んだことを空港に持ち帰って、長崎空港をもっといい空港にしたいです」と涙で言葉を詰まらせながら語った。

もう1名は2009年入社で羽田空港勤務の西田百合香さん。「羽田という忙しい空港でせわしない毎日ですが、自分の中に『JALが好き』という気持ちが芽生えてきました。自分が『JALの顔』だということを忘れずにいたいです」という言葉とともに、笑顔を見せた。

本選に参加した10名全員には、「Service Adviser JAPAN AIRLINES」と記されたバッジが贈られた。バッジの裏にはナンバリングが施されており、文字通り「世界でひとつだけのバッジ」となっている。バッジの中央にデザインされたアルメリアの花言葉は「おもてなし」。他のGSが憧れるような、バッジに恥じない仕事が一人ひとりに求められる。

選ばれた人のみがつけられるサービスアドバイザーのバッジ。コンテストで配られたものは仮のものだが、来年4月には本選に出場した10名全員に配られる

「顧客満足 No.1」へのキーパーソン

コンテストを振り返って、丸川潔・空港本部長は、「第1回に比べ、予選も含めてレベルが上がった気がします。ただ、本当に注目していただきたいのは、本選を見守る予選参加者たちの眼差しです。本選でのGSの様子を、うなずきながら熱を持って見ている姿が垣間見れました。コンテストは優劣ではなく、JALフィロソフィを共有する場として、今後も実施していきたい」と述べた。

JALは2016年までに、「顧客満足 No.1」の達成を経営目標のひとつとしている。そのためには、安全運航や定時出発・到着などの定時性、そして、サービス品質の向上が求められる。特にヒューマンサービスに関して、「現在、キャビンサービスは(各航空会社)すでに出そろっている。今後はGSのサービス向上が欠かせない」(上川裕秀・旅客販売統括本部長)という。

「顧客満足 No.1」のためにGSのサービス向上は欠かせない。JALは今、社員一丸となってナンバーワンを目指している

今まで空港でトラブルに遭遇したことがない人などは、もしかしたらGSの「おもてなし」を実感したことがないかもしれない。とはいえ、そのスピーディーな搭乗もGSが乗客に寄り添ったサービスゆえ、ということも考えられるだろう。次回空港に訪れる際、是非、GSの「おもてなし」に注目していただきたい。

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