【レポート】

AMD APU13レポート - AMD、"Kaveri"ことA10-7850Kの概略を発表

開幕前レポートに紹介した通り、AMDは太平洋時間の11月11日午後4時からAPU13の基調講演を開始した。初日は同社のLisa Su氏(Photo01)とPhil Roger氏(Corporate Fellow)の基調講演のみであるが、まずはこのLisa Su氏の内容をレポートしたい。

おなじみLisa Su氏(Senior Vice President and General Manager, Global Business Units)

HSAのマーケット拡大を見込むAMD

Su氏はまずクライアント側により高い処理性能が必要とされることを示し(Photo02)、単にPCだけでなくMobile Deviceもこうした方向性が及んでいる事に言及した(Photo03)あとで、AMDはこうしたマーケットに向けて2011年からAPUを投入してきた事を説明した(Photo04)。

Photo02:これはもっぱらPCの話。様々なアプリケーションが既にHSAというかOpenCLへの対応を始めており、またゲームグラフィックの画質向上や、なにより4Kで更に高い処理性能が必要になることを指摘した

Photo03:Mobile ApplicationはまだPCほどこうしたアプリケーションは存在していないが、高画質化に関しては既に10inchタブレットで2.5K、14inchクラスのノートだと3K液晶の製品が存在しており、こちらも性能改善が当然必要になるとしている。まぁこの見方そのものは正しいと思う

Photo04:2011年がLlano、2012年がTrinity/Richland、2013年がKaviniである

このAPUマーケットは次第に大きくなっている、というのがSu氏の説明であり、来年には1.5億個以上のAMDベースAPUが投入され、近い将来にはこれがさらに多くなる、としている(Photo05)。重要なのは、このAPUが非PC向けに需要を伸ばしており、2014年では半数弱なのが、その先は過半数を占めるだろうと予測していることだ。

Photo05:non-PCというのはTabletのほかに、まもなく登場するPS4とかXBox Oneが含まれている

Su氏はこの勢いがHSAメンバーによりさらに加速される、とした(Photo06)。Photo05はあくまでもAMDが製造するAPUの出荷個数であるが、ARM陣営の主要なSoCパートナーがほぼこのHSAに加盟している結果として、2012年に出荷された推定12億個のSoCのうち、3分の2にあたる8億個はHSAメンバーからのものである。

Photo06:Imagination TechnologyがMIPS Technologiesを買収したことで、理論上はARMのみならずMIPSベースのHSA APUも投入される可能性があるわけだが、そのあたりの話はまた別のレポートで

もちろん2012年の時点においてはまだHSA対応のARM SoCは存在していないが、このマーケットシェアの割合が変わらないとすれば、HSAのマーケットは非常に大きいことになる。

今回のAPU13というイベントは正式名称(AMD Developer Summit 2013)の通り開発者向けであり、したがって開発者に向けてHSAのマーケットに早くから対応してもらうことでマーケットそのものを広げると共に、先行者利益を享受してもらおうというもので(Photo07)、氏もこの点を強調していた。

Photo07:このあたりの詳細はむしろ続くPhil Roger氏の方がもう少し詳しい話をしていた

856GFLOPSの演算性能を備えた次世代APU「Kaveri」

さて、ここで一転して話は2014年のAPUであるKaveriに移った(Phtoo08)。Kaveriは単体で856GFLOPSという非常に強力な演算性能を持つAPUである。

Photo08:詳細は後で出てくるが、Steamrollerベースコア×4+GCNベースのRADEONコアを、hUMA対応メモリコントローラと組み合わせたものである

この856GFLOPSという演算性能は、AMD A10-7850Kという型番の製品のもので、おそらく当面の最上位製品のものと思われる。スペックは以下の通り、

  • CPU:3.7GHz駆動のSteam Roller CPU(4 Core/2 Module構成)
  • GPU:720MHz駆動で8 CU(512 Radeon Core)構成のRADEON R7ベースGPU

である。CPUが8 FLOPS/Cycle、Radeon Coreが2 Flops/Cycleという計算であり、これを合算すると3.7GHz×4×8+720MHz×512×2という計算になる。CPU側が118.4GFLOPS、GPU側が737.3GFLOPSで、合計すると855.7GFLOPSというわけで、約856GFLOPSという数字になるわけだ。

実はこの情報そのものは基調講演では一切語られなかった。ではなぜ分かったかというと、講演終了後にAPU365で公開した基調講演のプレゼンテーション資料の最後にFOOTNOTEとしてこれらの情報が記載されていたからだ(Photo09)。

Photo09:こんな形でこっそり公開しなくてもちゃんと説明すればいいのに、と思わなくもない

さて、Su氏はこのKaveriの特徴として、競合製品に比べてGPUの占めるダイサイズが非常に大きいことを特徴としてあげた(Photo10)。具体的な内部構造としては、Steamrollerコア+GCNの組み合わせである事(Photo11)に加え、hUMAというCPUとGPUを共通のメモリ空間で扱う技術、さらに先月発表されたhQ(CPUとGPUでそれぞれ同じようにTask管理できる仕組み)を搭載していることも発表した(Photo12)。

Photo10:8CUともなるとそれなりのダイサイズを占めるのは当然の事で、むしろGPU以外をよくコンパクトに収められたな、と思わざるをえない

Photo11:Photo09のFootnoteの計算ではCPU側が3.7GHz×4core×8Flops/cycleという計算であるが、2coreでFPUを共用する関係であることを考えると、実際は3.7GHz×2Module×16Flops/cycleとしたほうが正確かもしれない

Photo12:hQに関しては実は未レポートなのだが、要するにGPU側へのTask SchedulerにQueueを設けることで、CPUがGPUのTask管理から開放されることになった。また複数のTaskをGPU側で同時に実行できる仕組みも一部取り入れられており、より柔軟な処理が可能になっている。これらの仕組みがApplicationからはTransparencyで実現されているのもhQの特徴である

また当然ながら先日発表になったTrueAudioも搭載されている(Photo13)。TrueAudioの仕組みはこちらを、実装の詳細はこちらを参照されたい。

Photo13:これはまぁ以前のレポートを見てもらえれば説明は不要だろう

さて、AMDがこのKaveri世代やRADEON R9シリーズで一押しにしているのが、DICE/EAと共同で行ったBattlefield 4への最適化だ(Photo14)。実際に会場ではKaveri vs Core i7-4770K+GeForce GT630という構成で製品版のBattlefield 4を動かしながらFLAPSを使ってフレームレートを表示するというデモが行われ(Photo15)、Kaveriが倍以上のフレームレートで動作することが示された(Movie01)。

Photo14:今回のデモも、まだMantle版ではなかった。Mantle版は年末リリースになるらしい

Photo15:解像度はFull HD(1920×1080pixel)との事だった。Kaveriはほぼすべてのシーンで30fpsを超えて40fps近い速度で動いていた

動画
KaveriでのBattlefield 4ベンチマーク画面

このKaveriの製品出荷の詳細は2014年のCESで公開されるとしており、最初の製品出荷は2014年1月14日を予定していることも明らかにされた(Phtoo16)。本来ならホリデーシーズン(つまり米国のクリスマス商戦)に間に合わせたかったのだろうが、さすがに無理だったということだろう。

Photo16:OEMへの出荷は今年第4四半期に開始されるとしており、実際ノートなどはそれでないと来年早々の出荷に間に合わないだろう

最後に"One More Thing"というので何が出てくるか、と思ったら単にAPU13の最後に抽選で、KaveriベースのシステムやR9 290Xがあたる「だけ」だった(Photo17)。これはAMDにとってさらにもうひとつ何か新しい話を出せるほどのゆとりは無いという裏返しと見てもいいのだろう。とはいえ、苦しい中でもKaveriがそれでも順調に出荷できそう、という目処が示されたのは、一応明るいニュースと捉えていいのかもしれない。

Photo17:言うまでも無いことだが、プレスはこの抽選に最初から参加できない

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