カシオ計算機が11月8日に発売するオリジナルスタンプメーカー「pomrie」(ポムリエ)。スクラップブッキングや手芸などで人気の手作りホビー市場へ、カシオが本格的に参入する製品の第1弾となる。

パソコンのソフトやスマートフォンのアプリでスタンプの絵柄を作り、それをpomrie本体で出力することで、オリジナルのスタンプが簡単に作れる。スタンプの大きさは最小15mm×15mmから最大45mm×90mmの全7種類。スタンプの印面に染み込ませるインクは、ブラック / レッド / ブルー / グリーン / ブラウン / ピンク / パープル / イエローの全8色で、1つのスタンプで複数のインクを使うことも可能だ。pomrieの概要や発表会の別記事もご一読いただきたい。

自分だけのオリジナルスタンプを簡単に作れる「pomrie」

■カシオ、手軽にオリジナルスタンプが作れるスタンプメーカー「pomrie」
■【レポート】カシオが手作りホビー市場に本格参入 - 第1弾は女性陣が作ったオリジナルスタンプメーカー「pomrie」

このpomrieを手掛けたコアメンバー、企画提案を行った村田史奈氏、マーケティング担当の尾澤慶子氏、売場開拓を担当した山崎祐佳氏に、開発の裏側をうかがった。

デザインセンター
村田史奈氏

営業本部 戦略統轄部
尾澤慶子氏

営業本部 国内営業統轄部
山崎祐佳氏

クラフト女子の気持ちを込めた商品アイデア

カシオといえば、腕時計の「G-SHOCK」やデジタルカメラの「EXILIM」など機能性に優れ、メカ要素が強い製品に印象がある。その中で近年、少しずつ芽をのぞかせつつあるのが、女性社員のアイデアを生かした製品だ。ライフスタイルに根ざした商品提案の視点が、より幅広くなってきていることの現れだろう。またその背景には、同社のデザインセンターで半年に1回開催されている、デザイナーからの企画提案制度がある。職務を越えたところで、社員が自由にアイデアや企画デザインをプレゼンできるという制度。pomrieもここがスタートだった。

さて、提案者でありデザイナーの村田史奈氏は、自他共に認めるクラフト女子。普段から親しんでいたマスキングテープなどのアイテムに着目し、手作りや雑貨を楽しむ女性をコアターゲットにアイデアを練ったという。ユーザーの生活になじんでこそゴールというカシオのものづくり精神を基本に、かわいいものが大好きな気持ちを反映させた。

村田氏がpomrieで作ったスタンプと、それを押した年賀状やメッセージカード、便せん

村田氏「スタンプができたら終わりではなく、カードなどに押して完成したときがゴールなんです。楽しいものが簡単にたくさん作れて、完成したときの嬉しさを感じられるものにしたい。そのことをずっと意識しながら、スタンプを押す場面を想像しながら、どんな場所に押すのかな、そこに合う絵柄はなんだろうと考えつつ、細部まで固めていきました」

もともとpomrieは、カシオのラベル印刷機器「ネームランド」の展開の1つとして考えていたという村田氏。過去にも数回の企画提案を行ってきた経験から、アイデアを思い付いた時点で多くの社員や、電子文具のマーケティングを担当している尾澤氏にアドバイスを仰いだという。

村田氏「相談を持ちかけた皆が、クラフト女子向けのスタンプを作るなら、まったく新しい商品として技術開発から始めたほうがいいんじゃないかと言ってくれたんです。おかげでデザインセンターのプレゼンでは、これまでのカシオにない商品として面白いと評価してもらえました」

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