ICT総研は10月10日、東京都内の主要な「待ち合わせ場所」100地点で新型iPhoneの電波状況実測調査を行い、その結果を発表した。同調査では、ソフトバンクの通信速度が最も高速であることがわかった。

同社は今回、国内主要3キャリア(NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5c」で調査を実施。「スマートフォンのトラフィックが密集する地点」(同社)という理由から、東京都内の主要な「待ち合わせ場所」を測定地点として設定。計100地点でLTEエリア比率、データ通信速度を調査した。調査期間は9月20日から10月4日まで。

なお調査は、通信速度測定アプリ「RBB TODAY スピードテスト」で1地点あたり計3回下り、上りの通信速度を測定し、その平均値を出した。また、計測時間は「実効速度の上限を調べることを意識したため」(同社)、繁忙時間帯(7~9時、12~13時、17~20時)を除いたとのこと。

ソフトバンクは下り/上りともにトップ、下りでは唯一20Mbps超え

調査の結果、下り通信速度はソフトバンクが1位で21.91Mbpsとなり、唯一20Mbps超えを果たした。続いてauが18.79Mbps、ドコモが16.20Mbpsという結果だった。上り通信速度についてもソフトバンクがトップで11.02Mbps、続いてauが11.01Mbps、ドコモが4.98Mbpsだった。

都内待ち合わせ場所100地点の下り速度(画像左)と上りの通信速度

都内待ち合わせ場所100地点のLTEエリア比率

この結果の理由として、同調査では、ソフトバンクが新型iPhone発売に合わせ、「倍速ダブルLTE」の提供を開始したことを挙げている。倍速ダブルLTEは、従来の2.1GHzとイー・モバイルの1.7GHzを使った「ダブルLTE」をそれぞれ、下り最大75Mbpsの環境を提供するというもの。

さらに同調査では、ソフトバンクの通信速度について、測定ポイントを山手線の外側、内側に分け、次のように指摘している。「山手線の外側のエリアの方が、内側のエリアよりも通信速度が速い傾向は見られるが、いずれも安定した速さを見せた」(同社)。また、LTEカバー比率についても100地点すべてで4Gを受信したことを評価している。

auは上り/下りともに次点、ドコモは3社中3位という結果に

上り、下りともに次点だったauについては、2.1GHz帯LTE網のみの対応により、LTEカバーエリアに課題があるとされてきた従来モデル「iPhone 5」について言及。iPhone 5と比較し、「大きく電波状況の改善された」と評価。その理由として、新型iPhoneが800MHz帯(プラチナバンド)のLTE網に対応したことを挙げている。

上下ともに3社中3位だったドコモについては、同社の過去の調査と比較し、「確実に平均の通信速度が改善している」と評価しつつ、2013年9月末時点で1,639万件となる「Xi契約数の急増」について指摘。最も低速となった理由を「人口密集地で回線混雑が起きていることが原因」と分析している。

このほか同調査では、各社の新型iPhoneのLTEエリアカバー率が、ソフトバンクとauが100%。NTTドコモが99%と、ほぼ100%となっている点を挙げ次のように指摘している。「都心部の中でもスマートフォンを利用する機会の多い場所だと考えられるだけに、各社ともエリアカバーにぬかりはない様子」(同社)。

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同調査も指摘しているが、国内の国内主要3キャリアが同時に新型iPhoneを取り扱うことになり、ネットワークインフラが差別化要素としてこれまで以上に注目されてきている。今回の調査を見る限りは、新型iPhoneの速度においては、現時点でソフトバンクがリードしていると言えそうだ。

なお、3キャリアのLTE通信サービスの拡充計画は次のとおり。KDDIは800MHz帯LTEの全国実人口カバー率は現時点で97%としており、2013年度末までに99%に拡大する考え。NTTドコモは、これまで3Gに活用してきた1.7GHz帯の20MHz幅を順次LTE化する計画だ。一方ソフトバンクは、900MHz帯(プラチナバンド)のLTE化を来春に開始する予定で、さらなる通信環境の向上を図るとしている。これらの施策により、今後も状況は変化していくことが予想される。今後も、各社のネットワークの変化注目していきたい。