松本人志監督作の『R100』が、10月5日に公開を迎える。大森南朋演じる主人公・片山貴文が、謎のクラブ「ボンデージ」に入会することがきっかけで、美女たちに翻弄(ほんろう)される姿を描いた。第38回トロント国際映画祭の「ミッドナイト・マッドネス(MIDNIGHT MADNESS)部門」に出品され、地元メディアで評価が分かれるなど、過去3作品以上に話題の本作。松本監督にインタビューを行い、いまだに謎のベールに包まれた『R100』の魅力を探る。

松本人志
1963年9月8日生まれ。兵庫県出身。1982年に漫才コンビ・ダウンタウンとしてデビューを果たす。2007年の初監督作『大日本人』がカンヌ国際映画祭の監督週間に正式招待される。その後も、『しんぼる』(2009年)、『さや侍』(2011年)を製作し、海外でも高い評価を得ている。 撮影:MOTO

――SとMがテーマになっていますが、ご自身に置き換えると"SとM"についてどのようにお考えですか。

周りでは僕はMで、浜田(雅功)がSという感じで捉えられていることが多いし、僕もそういうことを自分で言うんですけど、思い起こしてみると、そもそもMでもなかったのかなぁと思うんですね。学生時代とかから考えると。だから、おそらくお笑いをやっていく上で、きっとその方が笑いを取りやすいというか、楽だったんでしょうね。だから、僕は”商業M”だと思うんです。

――本作はどのような思いからスタートしましたか。

今回で4作目。前回(『さや侍』)は映画っぽいものを撮ってみようという思いがあって、それがストレスだったというわけではないんですけど、その分次はめちゃくちゃしたいなぁというのがあって、そのめちゃくちゃのテーマがなんやろうと思った時に、これ(『R100』)が出てきたんですね。

――大森南朋さん演じる主人公・片山は、ご自身を投影したものなのでしょうか。

そういうこともないんですけど…「お父さんちゃんとするからね」って言うシーンがありますけど、お父さんはちゃんとしないですからね。大森さんに現場で伝えたのは、片山のずるさというか、男のずるさ。一方ではそういうことばっかり考えてしまっている自分を描きたかったんですね。

――大地真央、寺島しのぶ、片桐はいり、冨永愛、佐藤江梨子、渡辺直美といったボンテージ姿の女優陣は、Sっぽいイメージだったから起用したのでしょうか?

基本的にそうですね。女優さんに関わらず、ほぼ初対面の人も結構いて。実は過去の作品は、自分が主演だったり、素人のおっちゃんが主演だったりで、ちゃんとした役者さんへの演出はあんまりしていなくて。4作目のテーマは”めちゃくちゃするぞ”なんですけど、めちゃくちゃしたいなら余計に、役者さんはちゃんとお芝居できる人で固めないと、ただのむちゃくちゃな映画になっちゃうなと思ったんです。自分にも緊張感が欲しかったですし。あんまりなーなーにならないように、初対面の人を起用していこうかなと思ったんですね。

――しかし、映画を見ると、過激なシーンもありますし、よく出演オファーを受けたなと…。きわどいシーンもためらいなく、演出したのでしょうか。

そうですねぇ…。今回はそういう意味では大変でしたね。大森さんにも頑張ってもらったんですけど(笑)。でも、どっかで監督はSにならないとダメだなと。やってもらうしかないし、それはビジネスと言ってしまうとあまりにもクールすぎるんですけど…やっぱりやってもらうしかないですもんね。僕も要求はちゃんと伝えました。

――大森さんはどこまでやるんだろうとドキドキしながら映画を見ていました。

大森さんはね、明日来ないんじゃないかなって(笑)。そういうことも何度かありました。

――現場ではどのように指示したのですか?

大森さんは、全然ひるむこともなかったですね。わりと淡々と…淡々とやってましたよ。こういう人なんだとスイッチが入ってしまえば、できる人なんでしょうね。役者さんってみんなそうなんでしょうけど、不平不満みたいなことは一切なかったんですよね。本当に淡々とやってましたよ。渡辺直美のシーンは、僕が想定してたより「結構いくな、お前」ってヒヤヒヤしてたんですけど(笑)。それも大森さんは受け止めてくれて、何の問題もなく。

――その大森さんが演じた片山が絶頂を迎えた時に、頬が膨れるのですが、あの演出にはどのような狙いがあるのでしょうか。

たぶん、大森さんのそのままの姿だとコメディみたいになっちゃうんですよね。コメディではなく、少しだけ気持ちの悪さというか怖さみたいな演出が欲しかったので、あれは当初からCGでやるというのが決まっていました。見ている人が笑ってしまわないようにするのに、ちょっとだけ苦労したんです。……続きを読む。