累計売上が170万部を突破するベストセラー作家・東野圭吾が、映画化を前提として執筆しはじめたという『プラチナデータ』。2013年3月、大友啓史監督の手によって映像化された本作は、興行収入26億円という大ヒットを記録した。

『プラチナデータ』のBlu-ray/DVDは2013年9月27日リリース

『ハゲタカ』や『るろうに剣心』などのヒットでも知られる大友監督が、近未来の世界観をスタイリッシュかつスリリングに描いた『プラチナデータ』は、二宮和也と豊川悦司の初共演や、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏、水原希子ら個性豊かなキャスト陣でも話題を呼んだ作品。そんな『プラチナデータ』がBlu-ray/DVDとなって2013年9月27日にリリースされる。そこで今回は、本作で監督を務めた大友監督が語った作品の魅力を紹介しよう。

大友啓史監督が語る『プラチナデータ』

――今年3月に公開された『プラチナデータ』ですが、公開後の反応はいかがでしたか?

大友啓史監督

大友啓史監督「プロダクションとして意外と難しい題材でしたから、セットやロケーションも含めて、よくやったねっていう反応をいただきました」

――ロケーションはかなりこだわりがあったのでは?

大友監督「こういったネタ、いわゆる未来モノはかなり難しいんですよ。日本映画のスケールバジェットで考えるとなかなか成立しづらいジャンルで、CGを使うにしても時間がかかるし……。とりあえず、僕らは3年くらい先をイメージして、ロケーションを設定したんですけど、東野(圭吾)さんが原作を描かれた時点から考えたら、すでに今が未来じゃないですか。いろいろ取材していくと、今起きてもおかしくないくらい状況は進んでいる」

――未来について書かれたことに時代が追いついてきたわけですね

大友監督「実際、僕らが日常的に経験していること、例えばパソコンに履歴が残ると全部知られてしまうじゃないですか、消費行動とかも。そういうことも含めて、原作で描かれている未来って、けっこう今に近いんですよ。実現していないことだって、本当に近い将来に実現してしまうかもしれない。だから映画のロケーションも、現代と地続きでいいだろうと思ったんですけど、あまり見慣れた景色になってしまうと未来には見えない。皆が知っているファーストフードやらスーパーの看板が映ってしまうと、一気に現代に引き戻されてしまうんですよ。だからそういったものを排除したロケーション、なるべく僕たちが見たことのないシチュエーションを作ろうと思いました。未来イコール見たことがないものですから。そういったところでかなり苦労はしました」

――カーチェイスやアクションにもかなりこだわりがあったのではないですか?

大友監督「こういったアクションを日本で撮るのはかなりキツい。だってカーチェイスなんて普通の路上じゃできないじゃないですか。海外だと、警察が協力してくれて道路を封鎖するなんて日常的なんですけど、日本だとそれはかなり厳しい。さらに場所についてもやっぱり必然性のある場所にしなければならない。二宮君が演じる神楽が逃げているところを追いかけて撮っているわけだから、いきなり福岡の街中が登場したらおかしいでしょ? 地方のほうが撮影はしやすいんですよ。でも、福岡で撮影するためには、福岡にまで行く理由が必要になる。主人公の行動半径とモチベーションと物語の動機付け、そういったところで納得のいく場所じゃないと意味がない。今回の場合、神楽君が人目につかないところに逃げていくわけだから、工場街とか山奥とか……そういった物語にちゃんと沿った場所で、できる限りのアクションをやってみようと思い、そこにこだわった感じです」