NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの各社は9月20日、全国で米Appleの新型スマートフォン「iPhone 5s」「iPhone 5c」の販売を開始した。今回、注目となるのは、新たにドコモがiPhoneの販売に参入したことと、iPhone 5s/5cが800MHz帯の「プラチナバンド」のLTEに対応したことだ。果たして、どのキャリアの新iPhoneが一番速いのか? 本稿では、発売されたばかりの各社のiPhone 5sを使い、通信速度テストを行ったので、紹介したい。

Apple Store銀座店前で各社iPhone 5sの通信速度を測定してみた

購入したばかりの各社iPhone 5sをテストに使用した

左から、ドコモ版iPhone 5s(スペースグレイ)、KDDI版iPhone 5s(ゴールド)、ソフトバンク版iPhone 5s(シルバー)

通信速度テストを実施したのは、今回も多くの人が発売日にiPhone 5s/5cを求めて並んだApple Store銀座店の目の前。購入したばかりのドコモ版、KDDI(au)版、ソフトバンク版のiPhone 5sで、iPhoneアプリの「RBB TODAY SPEED TEST」を使用し、各端末1回ずつ通信速度を計測した。

通信速度が最速となったのはKDDI版iPhone 5sで、下り速度20.95Mbps、上り速度13.83Mbpsといずれもかなりスピードが出た。下り速度で2位となったのはドコモ版iPhone 5sで12.79Mbps。しかし、上り速度では1.12Mbpsと3キャリアでもっとも遅かった。ソフトバンクは下り速度が4.50Mbps、上り速度が3.29Mbpsとなり、LTEとしては上り/下りともに物足りない結果となった。

各社iPhone 5sのApple Store銀座店前における通信速度(左からドコモ版、KDDI版、ソフトバンク版)

Apple Store銀座店前で実施した各社のiPhone 5sの通信速度テストでは、上り/下り速度ともにKDDIが他社を圧倒し、最速となった。これには、iPhone 5s/5cが対応する800MHz帯のLTEが大きく影響していると考えられる。

プラチナバンドである800MHz帯の電波は、遠くの場所やビル陰などにもよく届き、つながりやすいのが特長。800MHz帯をLTEに利用しているのはドコモとKDDIの2社だが、とくにKDDIは800MHz帯をメインでエリア展開しており、下り最大75Mbps対応エリアの実人口カバー率は8月末現在で97%となっている。一方、ドコモは800MHz帯を含む3つの周波数帯でLTEを展開しているが、マイナビニュースの別稿(http://news.mynavi.jp/articles/2013/09/17/iphone/)でも紹介している通り、800MHz帯の基地局数はKDDIと比べて極端に少ない。また、ソフトバンクはプラチナバンドの900MHz帯を所有しているが、現在は3Gのみに利用しており、900MHz帯でのLTEの提供は2014年4月を予定している。これらの状況が、今回の「KDDI版iPhone 5sが最速」という結果を導いたと言えるだろう。

発売直後の各社iPhone 5sの通信速度テストの結果をいち早くご紹介した。KDDI版iPhone 5sが同社の800MHz帯LTEの実力を示す結果となった。各社の料金プランや各種キャンペーンとあわせて、ご参考にしていただきたい。

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なお今回、Apple Store銀座店で取材した後、東京都 千代田区 一ツ橋のマイナビニュース編集部でYouTube動画の表示速度も比べてみた。その模様を撮影したので、ご覧頂きたい。



端末の並びは左からNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクのiPhone 5sである。結果は、KDDI(au)の端末が一番速く再生を開始できた。今回は2分程度の動画で試した結果なので数秒の差だったが、再生時間が長い動画となれば明らかな差が出てくることだろう。