説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iOS 7の「AirDrop」、どうしてiPhone 4/4Sは対象外なの?」という質問に答えます。

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iOS 7の新機能「AirDrop」は、文書や写真などのデータを近くのiOSデバイスに転送する近距離通信機能です。通信経路はBluetoothと無線LANのデュアル構成であり、3G/LTE回線を使用しないため、パケット代金が発生することはありません。

このAirDrop、iOS 7が動作するすべてのiOSデバイスで利用できるわけではありません。iPhone 5とiPad(第4世代)、iPad mini、iPod touch(第5世代)に限定されており、iPhone 4は対象外です。

iPhone 4が対象外とされる理由について、Appleは特に発表していませんが、ポイントは「Bluetooth」にあると考えられます。iPhone 5以降に発売されたiOSデバイスは、Bluetoothの最新規格「Bluetooth 4.0」に対応していますが、iPhone 4は「Bluetooth 2.1+EDR」までです)。

同様にAppleからの発表はありませんが、AirDropはBluetooth 4.0にで採用された低消費電力モードをサポートする新規格「Bluetooth Low Energy(Bluetooth LE、BLE)」と関係があると推測されます。なぜなら、Bluetooth LEの通信速度は最大1Mbpsと速くはないものの、近接通信に適した仕様を持つうえ消費電力がかなり少ないという、携帯端末間の通信にはもってこいです。動画など巨大サイズのデータには不向きですが、常に待機させておき電話番号や住所といった小さなデータをやり取りするには最適です。

これまでBluetooth機器はバージョンを気にせず利用できましたが、Bluetooth LEは従来規格と互換性がありません。そのため、AirDropがBluetooth LEを前提に設計されているのであれば、Bluetooth LEをサポートしないiPhone 4で利用できないのは無理のないことといえます。

Bluetooth 4.0に対応しているにもかかわらずiPhone 4SがAirDropをサポートしない理由は、画面の狭さが影響しているのではないでしょうか。写真などのデータを受け取ったとき、iPhone 4Sの画面サイズでは受信ダイアログで埋めつくされてしまいます。iPhone 4Sと同じCPU(Apple A5)を積むiPad miniがAirDropをサポートしていることも、この点を考えればうなずけます。

写真で解説

iOS 7の新機能「AirDrop」は、iPhone 4では利用できません。その理由は「Bluetooth LE」に対応しないことにあると推測されます

※記事初出時にiPhone 4SがBluetooth 4.0に非対応としていましたが、誤りだったため、修正いたしました。