NTTドコモとVisaは9月17日、モバイルに特化したプリペイドカードサービス「ドコモ口座 Visaプリペイド」を18日12時より提供すると発表した。

プリペイドカードサービスは、ドコモが2011年より提供している電子マネーサービス「ドコモ口座」に入金し、ドコモ口座サイトでプリペイドカードを発行することで利用できる。

ドコモ口座は、普通の銀行口座と同じく送金/お金の受け取りができるほか、ドコモ口座払い対応サイトであれば預金金額分の支払いが可能となる。

一方で今回の取り組みでは、ドコモ口座の預金をVisaのプリペイドカードサービスへ簡単に入金することができる。これにより、ドコモ口座払い非対応サイトであっても、Visaマークのあるネットショップであれば通常のVisaクレジットカードと同様にネットショッピングが可能となる。

利用条件は、18歳以上でFOMA/Xiを個人名義で契約しているユーザーで、iモード/spモードの契約も必要。また、ドコモ口座を利用したサービスとなっているため、口座の開設が前提となっている。

プリペイドカードであるため、事前審査が必要なく、入金済みの金額だけ決済が可能となる。ドコモ口座サイトでバーチャルカードが即時に発行されるが、店頭で利用できるプラスチックカードの発行は行われない。そのため、ネット上の国内外Visa加盟店での使用に限られる。

プリペイドカードは、「ワンタイムプラン」と「定額パックプラン」の2種類が提供される。

ワンタイムプランは、使い捨ての「ワンタイムカード」が発行され、有効期間は10日となる。カード番号の発行手数料として、発行するたびに105円がかかるが、12月末までは無料となる。月額利用料は無料。

このプランの特徴としては、10日という短い利用期間や、入金済みの金額しか使用できないため、万が一不正利用されても実害が少ないというメリットがある。

一方、定額パックプランでは、月額利用料210円で有効期間3年のレギュラーカードが提供される。有効期間が10日のワンタイムカードについても何枚でも発行でき、発行手数料は無料。

どちらのプランも、利用限度額は月間50万円までとなり、Visa認証サービスに対応する。

iPhoneでも使えるが、提供は10月1日から

NTTドコモとVisaは同日、都内で記者会見を開き、NTTドコモ 常務執行役員でスマートライフビジネス本部長の阿佐見 弘恭氏と、ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役の岡本 和彦氏が登壇した。

初めに岡本氏がVisaの会社概要を紹介。「Visaは世界最大のペイメントカード会社で、参加金融機関は1万5000社、Visa加盟店数は世界200以上の国と地域、3600万店にのぼる。日本におけるカード取引の市場規模は14%にとどまるが、諸外国に比べデビットカードやプリペイドカードの普及が遅れていることが要因の1つ。これらの数字を伸ばすことで成長を図りたい」と語った。

実際に、プリペイドカード市場は急拡大している。2012年4月から2013年3月にかけ、取扱高は8倍に成長しており、今回の取り組みも更なる普及に弾みを付けたい考え。

また、2020年の東京オリンピックについても触れ、「Visaはオリンピックの公式スポンサー。東京オリンピックで世界から来訪する観光客が現金を使うことなく観光できるよう"キャッシュレスオリンピック"にすることで『おもてなし』をしたい」とタイムリーな話題を交えて将来への意気込みを語った。

一方で、ドコモの阿佐見氏は「ドコモはキャリア決済やDCMXといったポストペイド課金(後払い)の取り扱いが多かったが、コンビニでプリペイドカードの取り扱いが増えているように、支払い手段の多様化が望まれている状況を踏まえてプリペイドサービスの提供を行う」とした。

現在、ドコモ口座の利用者数は数十万程度だが、着実に利用者を増やしていきたいという。「今後も様々な展開を考えているが、今コメントは出来ない。お客様の混乱を招く恐れがあるので、ドコモショップなどでの店頭訴求は現時点で考えていない」(阿佐見氏)。

記者からのiPhoneに対応するのかという質問には「iPhoneでも使えます。ただし、メールを介してカードの利用通知などを行うため、iPhoneがspモードメールの送受信に対応する10月1日以降となる」と回答した。

現在、ドコモが提供するクレジットカードサービス「DCMX」は会員が1000万人、取扱高は1兆円を超える規模にまで成長している。阿佐見氏は「ポストペイドのクレジットカードが社会に定着しているため、DCMXまでは難しいだろうが、取扱高1000億円は目指していきたい」とプリペイド決済サービスの目標を語った。