リコーは、ドイツ・ベルリンで開幕したIFA 2013会場で、全天球撮影可能なデジタルカメラ「RICOH THETA」を発表、展示していた。コンパクトな手のひらサイズのカメラながら、一度のシャッターで全天球をカバーする撮影が可能となっている。

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リコー、全天球を撮影できるスティック型カメラ「RICOH THETA」

「RICOH THETA」。来場者を見ると、興味を持つ人はさまざまな質問をしており、リコー側も手応えを感じているという

THETAは、スティック型のボディに2つのレンズとセンサーを搭載。1つで半球、2つを合成することで全天球の画像を生成できる。上下左右、全てが一度に収められるため、撮影者も記録されるが、周囲の全てを一度に収められるため、面白い写真が撮影できる。

本体は手のひらに収まるぐらいのスティック型。これまでさまざまな展示会で出展されてきたが、一気に小型化した

側面には電源ボタンと無線LAN接続ボタン

ボディの中央部付近にシャッターボタン

本体上部にはスピーカーとマイク

撮影後に2つの画像を合成するが、画像自体は16:9のJPEG画像として保存される。地図を表示する際に使われる正距円筒図法で記録されており、PCに取り込んで通常の画像ビューワーなどで閲覧すると、横長の1枚の写真となるという。PC用ソフトもあり、それを使えば全天球の画像として閲覧可能。

全展球の撮影を可能にする2つのレンズ

無線LANを内蔵しており、スマートフォンと接続してシャッターボタンを操作するリモートコントロールに加え、撮影した画像を転送してスマートフォンで閲覧する機能も備えている。このアプリ側に正距円筒図法で記録された画像を天球型で表示する機能があり、これを使うことで、360度全体を見渡せる画像を確認できる。画像の拡大縮小・回転など、快適な操作が可能。

スマートフォンアプリからリモートでシャッターを切れる。無線LANは2.4GHz帯なので、IFA会場のような多くの無線が飛んでいる場所ではやや不安定に感じる。5GHz帯のサポートについて「今後の検討」(ブースの説明員の談)とのことだった

無線LAN経由でアプリに画像を転送できる。アプリからは天球型の画像で閲覧が可能

撮影した画像はフリックでぐるぐる回して全体を確認できる

スマートフォンにワイヤレスで転送される画像はフルHD(1,920×1,080ドット)、メモリカードに保存される画像は4K(4,098×2,160ドット)サイズになる。スマートフォンに転送された画像は、同社の開発したサイトに画像がアップロードでき、そのURLを問うこすることでFacebookやTwitterなどで共有できる。PCやiOSなどの幅広いブラウザで画像を確認できるという。

縮小するとこのような形になっている

10月には英、米、独、仏の各国で発売。価格は399ユーロまたは399米ドル。日本での発売については未定だという。

また、マイクロソフトのパノラマ撮影アプリ「Photosynth」に、今後THETAと接続でいる機能を搭載。PhotosynthからTHETAを制御して撮影、Photosynthのサイトにアップロードできるようになる。THETAに接続するためのAPIをマイクロソフトに提供したことになるが、一般への公開は現時点で行わない予定だそうだ。

基本的には、シャッターボタンを押すだけの単機能なカメラだが、生成される画像がとにかく面白い。常に周囲の全体を記録するため、使い方次第でさまざまな遊び方がありそう。スマートフォンと連携することで、離れた場所からリモートで撮影することもでき、自分が写りたくない場合は離れて撮影するか、頭の上で撮影すると、自分は入らない(試してみた限りは、本体を持つ手は少し写ってしまった)。

そのほか、動画撮影や録音機能もない。ただ、上部にマイクは備えているとのことで、今後そうした機能の搭載も期待できるが、現時点では特に明確な計画は明らかにされていなかった。

ちなみに現在はiOSのみの対応だが、年内にAndroidにも対応してアプリをリリースする予定だという。