フジテレビ系列で放送中のバラエティー番組『ほこ×たて』にて、「車に絶対新車と見分けのつかない塗装をする板金職人 VS 絶対見極める中古車買取ガリバー査定人」の対決が実現し、その模様が8日に放送された。

この4台の中に、世界レベルの技術を持つ職人の塗装した車が…。この道20年の車査定人は見破れたか?

塗装を行うのは、世界レベルの技術を持つ広島の職人

塗装を行ったのは、年間9,000台以上の車の板金塗装修理を行っている新和自動車(広島県東広島市)の塗装職人、菅原健二さん。塗装技術者の技術競技会『ベストペインターコンテスト2011』(BASFコーティングス ジャパン主催)で準優勝となり、2013年10月に行われる世界大会に、日本代表として出場を決めた腕前の持ち主だ。

菅原さんは、塗装技術が優れているだけではなく、色の調合のスペシャリストでもある。一見同じ色に見える車も、実際はメーカーや車種によって微妙に異なり、日に当たると色あせも発生するので、同じ色の車は2台と存在しないという。そのため、市販の塗料から最も近い色を選ぶだけではなく、他の塗料を調合して、目的の色を作り出しているのだ。対決を前に、「わしが塗装した車は誰も見破ることはできんね」と自信を見せた。

高いプロ意識を持つ、この道20年のガリバー査定人が挑む!

ガリバー査定人の赤井啓純さん(写真左)と、塗装職人の菅原健二さん(同右)

一方、査定を行うのは、中古車買取販売の最大手ガリバーインターナショナルの車査定人である赤井啓純さん。20年にわたって車査定を担当し、これまでに10万台以上の車を査定した実績の持ち主だ。

赤井さんによれば、塗装し直した車を見極める際、最初にチェックするのは色の違いだという。中古車はどうしても色が劣化してしまい、それに合わせた塗装は難しい。赤井さんは少しでも色が違っている部分がないかを見て、査定するとのこと。

また、面にミリ単位の厚さの違いがあれば、周囲の景色が映り込んだときに波打って見える「塗装波」が表れる。これを見極めることで、板金した車だと判断できるそう。その他、塗装面がボコボコした仕上がりになる「柚子肌」の有無や、塗装の下に塗られている防銹(ぼうしゅう)塗料の有無を確認する作業も行っている。

対決を前に、「車査定のミスは、お客様にダイレクトにご迷惑がかかりますので絶対に許されません」と赤井さん。試しに査定した車でも、製造時の溶接跡が存在しないことを指摘して、パーツ交換部分を見破ってみせた。

塗装職人VS車査定人、両者の高い技術がぶつかり合う好勝負に

番組での対決ルールは、菅原さんがシルバーから塗り直した1台を含む計4台のホワイトの車の中から、赤井さんが実車に触れることなく、見た目だけで未塗装の車を見極めるというもの。ボンネットの裏側は塗装されておらず、赤井さんが選んだ3台ともボンネットの裏側がホワイトなら赤井さんの勝ち、1台でもシルバーがあれば菅原さんの勝ちとなる。凹みを直した板金の跡が存在しない車の査定であり、塗装面の仕上がりを指で確認することもできないため、赤井さんにとっては厳しい条件だ。

4台の車を隅々までチェックする赤井さん。その様子を菅原さんが見守る

対決は番組恒例となっている名刺交換からスタート。そして目の前に並んだ4台のホワイトの車を、赤井さんがじっくり見極めていく。判断に迷う車もあったようだが、ジャッジの場面では迷うことなく4台中2台を新車と見破った。

最後の1台も、ボンネットを開くと新車であることを示すホワイトの塗装が。見事に未塗装の車をすべて指摘し、赤井さんが勝利をつかんだ。

赤井さんが選んだ3台とも、ボンネットの裏側はホワイト

勝負が決まり、赤井さんと菅原さんが握手を交わす

塗装された車を見極めた理由について、赤井さんによれば、「(菅原さんが)塗装した車は、市販されている状態よりも塗装のキメが細かかったから」。つまり、従来の車より美しすぎる仕上がりが勝負の分け目となったのだ。「塗装職人VS車査定人」の対決は、両者の高い技術を印象づける好勝負となった。

なお、ガリバーは今回の対決を紹介する特設サイトを開設。「対決紹介」をはじめ、赤井さんのコメントをまとめた動画「車査定人のこだわり」「いよいよ対決へ」「結果と解説」「対決を終えて」も掲載している。車を査定する際のチェックポイントなど、番組内では紹介されなかった情報もあり、自動車ファンならずとも要チェックだ。