説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「なぜiPhoneのバッテリーは自分で交換できないの?」という質問に答えます。

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歴代のiPhoneは、エンドユーザ自身によるバッテリー交換に対応していません。ボディの裏ブタは巧妙に取り付けられ、専用の器具を使わなければ開けることができない構造になっています。これは、iPodシリーズなどAppleの携帯型機器に共通する特徴です。

なぜそのような構造を一貫して採用しているか、Appleが公式にコメントしたことはありません。しかし、Mac Book Proなどかつては交換可能なバッテリーを採用していた機器が存在したことを考慮すると、ひとつの回答が浮かび上がってきます。

それは「デザイン自由度の追求」です。バッテリーが交換可能なことを前提にボディを設計すると、着脱が比較的容易な位置にバッテリーを配置しなければなりません。スペースに限りがある小型機器やノートパソコンにできるだけ大容量のバッテリーを積もうとすると、「着脱」というしがらみがないほうがデザインの自由度は増します。エンドユーザがバッテリーを交換することを無視できれば、裏ブタを外しやすくする工夫は不要ですし、機種ごとにサイズ/容量が異なるバッテリーを別売品として準備する必要もなくなります。

うがった見方かもしれませんが、iPhoneの場合は「約2年という買い換えサイクルに一致させる」という思惑を指摘する声があります。iPhoneに採用されているリチウムイオンポリマー電池は、使いはじめから2年もすると当初の性能(容量)から20%以上低下します。エンドユーザが自力でバッテリーを交換できれば、2年といわずさらに長く使い続けられますが、難しければ機種変更のタイミングととらえる消費者は少なくないでしょう。

これまでのところ、iPhoneは2年間隔で大きなボディデザインの変更を実施しています。これがエンドユーザによるバッテリー交換に対応しないことと関係があるとすると……よく練られた戦略だと言わざるをえません。

写真で解説

Android端末にはバッテリー交換可能なタイプがありますが、iPhoneにはありません(写真は本文と関係ありません)