再起動することなくWindowsソフトを利用できる、として仮想化ソフトはいまやMacユーザの必携品。そのひとつ「Parallels Desktop for Mac」が今回バージョンアップ、次期OS XのMavericksに対応するなど改良が加えられた。それでは早速、その変更点をチェックしてみよう。

Parallels Desktop 9 for Mac

Mavericksレディ、そしてWindows 8.1対応

9月公開予定の「Mavericks」は、初代OS Xから数えて10代目、現行のOS X 10.8(Mountain Lion)から約1年2カ月ぶりのメジャーアップデートだ。システムの基盤部分に大きな変更はないものの、「Timer Coalescing」や「App Nap」といった省エネ関連機能が充実された。余分な肉をそぎ落とすかのようなシステムリソースの効率化が特徴であり、多くのOS Xユーザが公開の日を待望している。

そのMavericksとほぼ同じタイミングで登場するのが、定番仮想化ソフトの最新版「Parallels Desktop 9 for Mac」。こちらも約1年ぶりのメジャーアップデートであり、多くの新機能が投入されている。

最大のトピックは、やはりMavericksへの正式対応だろう。Mavericksはマルチディスプレイ環境のサポートが改善され、アプリケーションをフルスクリーン表示するとサブディスプレイを自由に使えない、ということがなくなった。Parallels Desktopなど仮想化ソフトの場合、ゲストOSは1台のディスプレイを占有したほうがよりリアルになるため、マルチディスプレイ環境のMavericksは待望のリリースといえる。

ゲストOSとしてWindows Blue(8.1)を正式サポートすることもポイントだ。8月27日現在、製造工程向けにリリース(RTM)された段階だが、最新のOSにいち早くコミットすることは利用の安心感にもつながる。1クリックダウンロードに対応、迅速に導入できる点にも注目だ。

OS Xとの統合を図るドライバ集「Parallels Tools」も機能アップ。Windowsにインストールすると、「Print to PDF(Mac Desktop)」という仮想プリンタが追加され、紙に印刷する感覚でPDFを生成できるようになる。通常WindowsでPDFを生成しようとすると、Adobe Acrobatなどのサードパーティー製品に頼らざるをえないが、OS XのPDF出力機能を使えばそのような手間は不要だ。

USBディスク同様に、Thunderbolt/FireWireドライブを接続すると、OS XとWindowsどちらのシステムにマウントするか確認する画面が表示されるようになった。どちらにマウントするかを記憶させることもできるので、ドライブの着脱を頻繁に行うユーザには朗報だろう。

ほかにも、ディスクパフォーマンスが40%改善されるなど基本性能が向上したほか、Parallels Toolsの自動アップデートなどLinuxサポートの強化、Windows使用時にSkyDriveをOS X側へ共有する機能が追加されるなど、見どころの多いバージョンアップとなっている。

バージョン7と8のユーザー向けのアップグレード版の販売はすでにParallelsオンラインストアで始まっている。店頭および、各種Eコマースサイトでの販売は9月6日からとなっており、初回出荷分(4,000本)は限定価格の4,900円で提供される。初回出荷分の販売が終了次第、通常版(7,900円)に切り替わるので、お早目の購入をお勧めする。なお、アカデミック版と大学生協版も用意されており、前者はApple Online Storeにて、後者については全国大学生活協同組合において販売を行う。アカデミック版/大学生協版の価格はともに3,900円となっている。

ゲストOSとしてWindows Blue(8.1)をサポート、もちろんWindows 7など以前のバージョンのWindowsにも対応する

秋に公開予定の次期OS X「Mavericks」に対応、それぞれのディスプレイでアプリケーションをフルスクリーン表示できるよう進化したマルチディスプレイ機能を活用できる

Windows 8.1のワンクリックダウンロードに対応、導入作業を半自動化できる

OS XとゲストOS(Windows)の両方からThunderbolt/FireWireディスクへシームレスにアクセスできる

ゲストOSのWindowsにParallels Toolsをインストールすると、OS XのPDF出力機能が「Print to PDF(Mac Desktop)」という仮想プリンタとして認識される

Thunderbolt/FireWireドライブを接続すると、USBデバイスのようにMac/Windowsどちらにマウントするか選択できるようになった

iPadからMac&Winを遠隔操作

Parallels Desktop for Mac 9におけるもうひとつの目玉機能が、iPad向けアプリ「Parallels Access」だ。設定を有効にすれば、離れた場所から自宅のMacへログインし、あたかもiOSアプリであるかのようにOS XやWindowsのソフトウェアを利用できる。App Storeでは英語版とドイツ語版を先行公開、日本語版の登場時期は、現在未定とのことである。

Parallels Accessは、Parallels社のサーバーを介して自宅のMacへ接続する形式のリモートアクセス機能であり、1年ごとのサブスクリプションサービスとして提供される。英語版の価格は79.99ドル/年(Mac1台あたり)。アプリのアドオンとして購入可能だ。なお、最初の14日間は無料で利用できる。

タブレットを利用した遠隔操作と聞くと、物理キーボードとトラックパッドを同時に使えるMacに比べ隔靴掻痒になるのではと想像してしまうが、そうならないよう様々な工夫が施されている。そのひとつがタスク管理機能「App Switcher」で、OS XのDockに似た透過領域を画面下部に表示、そこにFinderを始めとするアプリケーションが並ぶ。その領域に表示されるアイコンをタップすれば、iPadに表示する(アクティブな)アプリケーションが切り替わるというしくみだ。Windowsのソフトも分け隔てなく扱われるので、ゲストOSかどうかを強く意識する必要はない。

コピー&ペーストもサポートされている。範囲指定など操作方法はiOS流 -- タップで範囲指定開始、ルーペでタップ位置を拡大表示、プレスで現れるメニューを使い処理方法を決定 -- のため、迷うことはなさそうだ。

有償サービスではあるが、離れた場所からMacとWindowsの区別なく自宅PCのリソースにアクセスできることのメリットは大きい。帯域幅が狭い回線でも快適に利用できるよう、最適化VNCなど汎用のリモートデスクトップ機能に満足できないユーザにとっては、興味深いソリューションとなることだろう。

離れた場所から自宅のMacにリモートアクセスできるiPadアプリ「Parallels Access」。「App Launcher」により、Mac/WinのソフトをiOSアプリのように利用できる

Parallels Desktop for Mac 9に導入したWindowsを、iPadから遠隔操作できる

Dockライクなタスクスイッチャー「App Switcher」により、OS X/Windowsソフトを自由に切り替えできる

コピー&ペーストなどの編集作業も、iOSの操作スタイルで行うことができる