本誌でも報じられているとおり、Windows 8.1の公式リリース日が「2013年10月18日(現地時間)」であることが発表された。Windows 8.1は既存のWindows 8と同じビジョンを継承しつつ、使い勝手の向上やクラウド時代への対応を強化した新しいWindows OSである。Microsoftは、Windows 8 Service Pack 1という形状ではなく、Windows 8.1という新しいOSとしてリリースすることを選択し、OSのライフサイクルに対する捉え方を変更してきた。もちろん、執筆時点でWindows 8は公開されていないため、今週は公式に示された情報を元にWindows 8.1の変更点などをレポートする。

Windowsストア経由で無料提供される8.1

本誌でも報じているように、Windows 8.1の公式リリース日が2013年10月18日(現地時間。日本は10月17日午後8時予定)であることを「Blogging Windows」で発表した。Windows OS(Operating System:オペレーティングシステム)ユーザーはもちろん、日本マイクロソフトとしても重要な転換期となるため、同社では業務執行役員Windows本部本部長の藤本恭史氏の名前で「The Official Microsoft Japan Blog」に記事を投稿している(図01)。

図01 現時点で公開されているWindows 8.1プレビュー版

前述の「Blogging Windows」の記事によれば、MicrosoftのWindowsコミュニケーションマネージャーであるBrandon LeBlanc (ブランドン・ルブラン)氏いわく「Windows 8.1はWindows 8のビジョンをそのまま継承し、Bingを利用した新しい検索経験やクラウド連携でユーザーを楽しませる」という。また、「Windows Experience Blog」では、「Everything you need, right from (the) Start」と題した記事を掲載

20以上もの改良したアプリケーションやサービスを統合し、Windows 8.1を楽しめると述べたのは、Windows担当ゼネラルマネージャーであるRyan Gavin(ライアン・ギャビン)氏。記事で興味深いのが、SkypeがWindows 8.1にバンドルされるという点。Skypeの公式ブログ「Big Blog」では、Skypeがスタート画面に加わる旨を紹介する記事を掲載した(図02)。

図02 Windows 8.1と各種サービスの連動性を示したイラスト(公式ブログより)

過去に発表されたとおり、2011年10月に買収が完了してSkypeはMicrosoftの一部門に収まっている。P2P(Peer to Peer)ネットワークを利用したテキスト/音声/ビデオチャットを楽しめるSkypeと、IM(インスタントメッセンジャー)として提供されていたWindows MessengerやWindowsストアアプリのメッセージングと機能がオーバーラップするため、Microsoftは過去の自社サービスを段階的に廃止。Windows EssentialsによるIMの提供もWindows 8.1におけるメッセージングの提供も行われなくなる。このような背景からWindows 8.1では、Skypeが標準Windowsストアアプリに加わるのだろう(図03)。

図03 Windowsストアアプリ版Skype。機能的にはデスクトップアプリ版に肉薄している

同記事で強調されているが、Windows 8.1とSkyDriveの統合である。これまではデスクトップアプリ版SkyDriveアプリをインストールすることで、ローカルディスクとの同期や、SkyDrive.com経由でコンピューター上に保存したファイルに参照していた。Windows 8.1では同アプリを内包し、ユーザーが作成したファイルの保存をオンラインストレージ上へ誘導する仕組みが加わっている。もちろん現時点では改良すべき箇所も多いものの、OSからシームレスに利用できるのは、他社オンラインストレージサービスに対して大きなアドバンテージとなるだろう(図04)。

図04 Windows 8.1プレビューでは、「PC設定」からSkyDriveに関する設定が可能になる

現在Windows 8を利用中の場合、10月中旬にはWindowsストア経由でWindows 8.1へのアップグレードが無償提供される予定だが、気になるのは現在Windows 8.1プレビューを利用している環境である。Windows 8.1プレビューのFAQでは、"アンインストールできない"と述べられており、ユーザーはPCのリフレッシュ機能やリカバリメディアを利用する必要がある。また、Microsoft関係者の発言を確認する限り、同プレビュー版をアンインストールせずにアップグレードできる保証はない。

そこで、新規インストールしたWindows 8.1プレビューに対して、その後流出したWindows 8.1のアップグレードインストールを試みた。すると事前にインストールしたデスクトップアプリやWindowsストアアプリはすべて削除されたものの、ユーザーファイルはそのまま残されている。ちょうど個人用ファイルのみキープする"Windows XPからWindows 8へのアップグレードインストール"を連想すると分かりやすいだろう。

なお、Windows 8.1プレビューで行った設定はMicrosoftアカウントが保持しているため、Windows OSに関する設定の一部は継承される。そもそもアップグレードプロセスは複雑であるため、単にレジストリエントリの書き換えやシステムファイルの更新にとどまるものではない。だが、Windows 8.1プレビューからWindows 8.1へのアップグレードインストールは変更箇所はさほど多くないため、大きなトラブルを引き起こすことがなかったのだろう。

ただし、これらの検証はあくまでも筆者個人が行った実験結果を示したものであり、Windows 8.1 RTM(Release To Manufacturing version:製造工程版)版での動作を保証するものではないことを重々承知して欲しい。