スマートVIERAの「マイホーム」画面。テレビ番組とともにネットコンテツンが表示される

だが、こうしたメーカーの取り組みとは裏腹に、業界内ではひとつの問題が起こっている。

それは、スマートテレビの先駆けともされるスマートVIERAの基幹機能でもある「マイホーム」を発端にして、民放テレビ局がスマートVIERAのテレビCMの放映を行わないという措置に乗り出した問題だ。

マイホームでは、電源を入れた際に、テレビ番組の画面と一緒に、天気やカレンダー機能など、複数のインターネットコンテンツが表示される。これが放送局やパナソニックが含むテレビメーカーなどが加盟する一般社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)が定めた「放送番組及びコンテンツ一意性の確保に関するガイドライン」において「番組と直接関係のない情報を表示する受信機」にあたると判断され、「番組の一意性の確保」ができないとされた。

この結果、Dpa加盟の民放テレビ局は、スマートVIERAをテレビとしては認知せず、それにも関わらずテレビとしての訴求を行うスマートVIERAのテレビCM放送を拒否したというわけだ。

インターネットと放送番組を一体として視聴者が誤認する?

Dpaはガイドラインのなかで、「視聴者の操作による複数放送番組の同時表示は問題ないが、視聴者の操作がない場合、視聴者は表示画面が複数の放送局から提供された情報であることを理解できない可能性があるうえ、インターネットブラウザと放送画面とが一体のように見えるため、視聴者は放送番組と関係のない情報(文字やバナー等)も、放送局が提供した情報であると誤解してしまう可能性がある。このような表示は避けるべきである」としている。

番組と直接関係のない情報により、番組の一意性の確保ができないという

さらに、「テレビは幅広い視聴者層や視聴形態が想定されるため、番組と直接関係しない情報を同時に提示することは基本的には好ましくない。しかし、商品企画により、番組と直接関係しない情報を同時に提示する受信機では、番組と無関係であることが明確にわかるような提示または実装をする必要がある」としているが、スマートVIERAは、このガイドラインには合致していないと判断されたわけだ。

しかし、欧米ではすでにテレビのネット接続率が50%以上に達し、ネットとテレビの融合が進んでいる。そして、その世界はますます進展していくことになるだろう。そして、マイホーム機能による表示は、欧米ではスマートVIERAの標準機能として位置づけられ、販売されている。

スマートテレビ普及を促進するとはいいながらも、こうしたスマートテレビに必要とされる機能に対して、制限を加えるような措置に出る業界側の反応には疑問を呈さざるを得ない。スマートテレビ普及には何が必要なのか、日本のテレビメーカーがその世界で躍進するには何が必要なのかを捉えるべきだろう。それが次世代テレビの進化につながるはずだ。

「次世代のテレビ事業を探る」バックナンバー
第1回 地デジ完全移行から2年
第2回 4Kテレビ時代は幕を開けた?