熟女が好きな男性の心理って?

年上の女性にあこがれる。そういう男性は昔からいました。けれどもそれは、中高生が大学生くらいの女性にあこがれる、というくらいの年齢差です。最近では、親子ほども年が離れた、いわゆる「熟女」の女性が好きだという男性も存在します。

なぜ、そんなにも年の離れた女性を好きになるのでしょうか。大学では恋愛心理学の講義も担当している平松隆円さんに、熟女を好きになる男性の心理を解説していただきます。

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20代から30代男性を対象に行われた「年上女性」に関する意識調査(プロビジョン)によれば、40代以上のいわゆる熟女とされる女性に対して魅力を感じたことがあるかと尋ねたところ、6割近くもの男性が"ある"ということが明らかになっています。

老けている女性が好きなわけではない

ですが、どんな熟女が好みかということを詳しく分析してみると、肌がきれいで若々しいという、いわゆる年齢を感じさせない「美魔女」を好みにしていることが見えてきます。つまり、熟女好きだからといって、実年齢相応に老けている女性は好んでいないのです。ということは、熟女好きに男性が求めているものは外見ではなく内面ということになってきます。

パートナーを選ぶ考え方には、「類似説」と「相補説」がある

人が誰かをパートナーとして選ぶとき、そこには「類似説」と「相補説」という考え方があります。類似説とは、自分と似ている相手を好むという考え方。たとえば、経済的な価値観が違ったり、食べ物や趣味がお互いに違ったりすると一緒に何かを楽しむことができずデートや結婚生活に支障がでますよね。そのため人は、価値観や趣味が同じ相手をパートナーとして選ぶと考えられています。

これに対して相補説とは、自分に足りない部分を補ってくれる相手を好むという考え方です。たとえば、カップルのどちらも甘えたいタイプだとすると、お互いがそうなので甘えられないですよね。甘えたいタイプと甘やかすタイプがカップルになった方が上手くいきます。そのため、人は自分とは異なる性格の相手をパートナーとして選ぶのです。類似説と相補説は、どちらが正しいというわけではなく、条件によって異なってきます。

甘やかしてくれる女性が求められている!?

そこで、類似説と相補説という考え方で、若い男性の熟女好きを考えてみると、そこには相補説が関係していると思われます。つまり、誰かに甘えたいと考えている男性が年下の女性と付き合うと甘えられません。むしろ甘えさせてあげないといけないわけです。そこで、母性とまではいかなくても、甘やかせてくれる年上の女性を選ぶ可能性が高くなるのです。

良いか悪いかは別として、一昔前であれば男性は女性を守るという絶対的なマッチョ観がありました。それが揺らいでいる今日だからこそ、熟女好きの男性が増えたのかもしれませんね。これは、若い女性の恋愛のライバルとして熟女が台頭してきたということ。若い女性たちも、戦略を考えないと熟女に男性がとられたままになるかもしれませんよ。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。