マカフィーは、2013年6月のサイバー脅威の状況を発表した。これは、マカフィーのデータセンターが捕捉したウイルスなどの集計をもとに、各項目ごとのトップ10を算出したものだ。さらに、2013年第1四半期の脅威レポートも発表されたので、一部を紹介したい。

ウイルス

検知会社数のランキングで8件がドライブバイダウンロード攻撃に使われる不正なJavaScript関連となった。このところ増加傾向にあったが、これだけ多数を占めたのは、初めてと分析する。ドライブバイダウンロード攻撃の対策は、脆弱性の解消が第一である。特に脆弱性が狙われることが多いアプリケーションに関しては、つねに最新バージョンであることを確認し、セキュリティパッチなどの対応を忘れずに行ってほしい。

McAfee Labs東京主任研究員の本城信輔氏は「ランクインしてはいませんが、MicrosoftのOffice製品の脆弱性CVE-2012-0158に対する攻撃は未だ続いています。主に標的型攻撃に悪用されており、この脆弱性が修正されていないと、Backdoorなどのトロイの木馬に感染する恐れがあります。いったん感染してしまうと、機密情報の漏えいなど深刻な被害に遭う可能性があります。不正な添付メール対策とあわせて脆弱性を修正するようにしてください」と注意喚起している。

表1 2013年6月のウイルストップ10(検知会社数)

順位 ウイルス 件数
1位 JS/Exploit-Blacole.em 873
2位 JS/Exploit-Blacole.le 844
3位 JS/Blacole-Redirect.ae 823
4位 Generic!atr 730
5位 JS/Blacole-Redirect.ad 723
6位 JS/Exploit!JNLP 679
7位 JS/Exploit-Blacole.ht 553
8位 W32/Conficker.worm!inf 430
9位 JS/Exploit-Blacole!heur 329
10位 JS/IFrame.gen.j 317

表2 2013年6月のウイルストップ10(検知データ数)

順位 ウイルス 件数
1位 W32/Conficker.worm!job 8,707
2位 JS/Exploit-Blacole.le 6,081
3位 X97M/Laroux.a.gen 5,974
4位 JS/Exploit-Blacole.ht 5,810
5位 JS/Blacole-Redirect.ad 5,229
6位 JS/Exploit-Blacole.em 4,804
7位 Generic!atr 4,706
8位 JS/Blacole-Redirect.ae 4,561
9位 W32/Conficker.worm 3,902
10位 W32/Conficker.worm.gen.a 2,773

表3 2013年6月のウイルストップ10(検知マシン数)

順位 ウイルス 件数
1位 Generic!atr 1,348
2位 JS/Exploit-Blacole.em 1,304
3位 JS/Exploit-Blacole.le 1,212
4位 JS/Blacole-Redirect.ae 1,044
5位 JS/Blacole-Redirect.ad 1,020
6位 JS/Exploit!JNLP 998
7位 W32/Conficker.worm!inf 882
8位 JS/Exploit-Blacole.ht 711
9位 JS/Exploit-Blacole!heur 378
10位 JS/IFrame.gen.j 377

PUP

PUP(不審なプログラム)は、検知会社数と検知マシン数で、Adware-Bprotectが圏外から1位となった。その検知数も従来の10倍以上ある。検知データ数においても、Metasploitが圏外から1位となった。その他のランキングも変動がみられる。上位の検出数はいずれも増加している。

表4 2013年6月の不審なプログラムトップ10(検知会社数)

順位 PUP 件数
1位 Adware-Bprotec 1800
2位 Generic PUP.x 281
3位 Generic PUP.x!bjg 261
4位 Adware-OptServe 170
5位 Tool-PassView 133
6位 Adware-UCMore 125
7位 Adware-Adon 118
8位 Generic PUP.d 101
9位 Generic PUP.z 94
10位 RDN/Generic PUP.x!xx 84

表5 2013年6月の不審なプログラムトップ10(検知データ数)

順位 PUP 件数
1位 Metasploit 153986
2位 Adware-Bprotect 66677
3位 Generic PUP.x!bjg 31574
4位 RemAdm-VNC 10782
5位 Exploit-MIME.gen.c 7258
6位 Adware-OptServe 6926
7位 Generic PUP.x 5827
8位 Generic PUP.d 4626
9位 Generic PUP.z 3912
10位 RDN/Generic PUP.x!xo 3784

表6 2013年6月の不審なプログラムトップ10(検知マシン数)

順位 PUP 件数
1位 PUP 3217
2位 Generic PUP.x!bjg 468
3位 Generic PUP.x 348
4位 Tool-PassView 311
5位 Adware-UCMore 235
6位 Adware-OptServe 194
7位 Adware-Adon 144
8位 RDN/Generic PUP.x!xx 128
9位 RDN/Generic PUP.x!xo 125
10位 Generic PUP.d 114

2013年第1四半期の脅威レポートより

まず、取り上げているのは、ソーシャルネットワークサービス(SNS)をターゲットとしたKoobfaceワームの急増である。McAfee Labsによると、Koobfaceのサンプル数が前期比でほぼ3倍に増加している。FacebookやTwitterを利用するユーザーは注意してほしい。また、このところ減少傾向にあったスパムメールの件数も急増している。その理由として、米国における株価の急上昇を指摘する。当然、株取引も活発になり、そこを攻撃者が狙っている。かつて流行したPump and Dump(パンプアンドダンプ、株価をつり上げて売り抜ける詐欺)と呼ばれるスパム攻撃が復活している。

それ以外には、情報収集型のトロイの木馬やシステムのマスターブートレコード(MBR)を対象とした脅威など、標的型攻撃は件数自体が増加し、同時に複雑化している。また、不審なURLも増加傾向にある。これは、攻撃者がボットネットからドライブバイダウンロードなどの不正なWebサイトを使った攻撃にシフトしているとのことだ。攻撃者にとっては、小回りがきき、摘発されにくいとのメリットがある。