夏休みを目前に控えたこの時期、旅行の計画を立てている人も多いことだろう。航空機のチケットを予約する際は、全日本空輸の「ANA」アプリの活用をオススメしたい。ANAはiOSおよびAndroidスマートフォンで利用できる無料のアプリケーションで、航空機の空席照会や予約、購入、果ては搭乗手続きまでをトータルにサポートしている。

今回、マイナビニュース編集部では全日本空輸に取材し、アプリの開発秘話などをうかがってきた。対応してくれたのは同社マーケティング部マーケットコミュニケーション部 主席部員の前田欣伸氏である。

ANAアプリに関する話をうかがった、全日本空輸の前田欣伸氏。ANAは、先月リリースされた無料のスマホアプリだ

ANAアプリって、どんなアプリ?

――― はじめに、ANAアプリの概要と開発の経緯について聞かせてください。

弊社では、早い段階からスマートフォン向けアプリの開発に取り組んできました。2010年の夏には国内便の利用者を対象にしたアプリ「旅達(たびだち)空間」を、2011年の4月には国際便で利用できるアプリ「ANA GLOBAL」をリリースしています。それぞれのアプリをリリースしてから数年が経ち、お客様のニーズが見えてきました。そして、アプリでできることも増えました。こうしたことから、6月に新しいアプリ「ANA」としてリニューアルさせていただきました。

ANAアプリは、旅達空間とANA GLOBALを統合したアプリになります。ANAアプリひとつで国内線/国際線の両方を予約することが可能です。航空券の予約機能がメインの導線になるよう設計しました。

ANAアプリでは日程などの条件を入力することで、空席照会や予約を行える。ウェブを介さず、アプリ内で条件入力操作ができるのが特徴だ

――― どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか。また想定しているターゲット層などはありますか?

「できるだけシンプルな操作で航空券の予約をしていただける」アプリを目指し開発しています。そのため、現段階では航空機の利用頻度が高いビジネスマンをメインの利用層に想定しています。今後はレジャー目的のお客様向けにも、最適な情報をお伝えできる機能を追加していく方針です。

航空機のチケットと一緒にホテルの予約が行えるANAの「旅作(たびさく)」サービスもアプリから利用できる。出張の多いビジネスマンにとっては助かる機能だ

――― ユーザーの反響については、いかがですか。

かねてから国内線/国際線の予約をひとつのアプリで行いたいという要望をいただいていました。それが統合できたこと、また予約導線がシンプルで分かりやすくなったこともあり「今回のリニューアルで使いやすくなった」という声を多くいただいています。アプリ自体の容量を小さくまとめられたことも高評価につながっていると思います。

スマホをかざせば飛行機に乗れる!?

――― 目玉となる機能はありますか。

iOS版のANAアプリでは、Passbookと連携してプッシュ通知を行うことが可能です。日本の航空会社では初めての試みになります。これにより、空港に近づくと搭乗に必要なPassをお客様のiOS端末に表示できます。航空機の運航状況や搭乗口の変更のお知らせなども適宜、プッシュで通知できます。

空港の近くになると、お知らせが届くようになる(GPS機能の利用が必須)。これにより、利用者は搭乗するまでの時間を安心して過ごすことができる

Android版のANAアプリでは、ICサービス(SKiP)に対応しています。これはチェックインをスキップできるサービスです。おサイフケータイ機能を搭載したAndroid端末をお持ちであれば、搭乗前に空港でスマートフォンをかざすだけで航空機に搭乗いただけます。

SKiPとは予約・購入・座席指定を済ませた利用者が、空港で搭乗手続きを"スキップ"して、直接保安検査場に進めるサービスだ

――― ANAアプリは、UIのデザインも印象的です。デザイン面でのこだわりを教えてください。

デザインにも相当こだわっています。もともとアプリの開発当初から、メンバーとは「上下左右に、フラットにスクロールできるUIにしたい」と話し合っていました。しかし今回の形に落としこむまで、開発者、デザイナーを含め社内でも喧々諤々(けんけんがくがく)の議論がありました。結果的に、面白いUIになったと思います。余談ですが、ANAアプリをリリースする3日ほど前にアップル社からiOS 7の発表があり、やはりフラットデザインを採用していたので皆で驚きました。

フラットなデザインのUIを採用した。ホーム画面の左にはメニューが、上には空席照会/予約が、下には予約確認/座席指定が配置されている

―――前田さんオススメの機能はありますか?

航空券の予約をとると「搭乗まで、あと何日」というカウントダウンメーターが出てくるようになっています。お客様に、旅行の日までワクワクする気持ちを感じていただける仕掛けです。あとは、デジタル時計の部分をタッチすると世界時計に切り替えられるようになっています。これにより、簡単に目的地の現地時間を参照できます。あまり知られていない機能ですが、国際線を利用する際は是非利用してほしいと思います。

デジタル時計の部分をタッチすると、国名一覧が表示される(写真左)。国と都市を選択すると(写真中)、ホーム画面の時計が現地時間に切り替わる(写真右)

メニューからfacebook(写真中)、Twitter(写真右)のANA公式アカウントにアクセスすることも可能だ。いずれもANAアプリを通じて閲覧できる

アップデートでは、どんな機能を追加予定?

――― 今後、ANAアプリはどのように進化していくのでしょうか?アップデートの予定などがあれば教えてください。

旅達空間アプリに搭載していた「ANAスタンプ機能」は、今後のアップデートで対応できる見込みです。これはfacebookのチェックイン機能と連動して、自分のウォールにANAオリジナルスタンプが表示できる機能です。facebook側の仕様が変更になったために、今回のリリースには間に合いませんでした。ANAご利用のお客様が増える夏頃までには対応させたいと思っています。

また、iOS端末ではPassbookと連携することでプッシュ通知が利用できるのですが、Android端末への提供はまだできていません。これについても今後、対応させる方針です。そのほか搭乗ゲートのご案内なども含め、色々な機能を追加していきたいと考えています。

――― マイナビニュース読者の中にも、ANA航空機を利用しているユーザーがたくさんいます。最後に、何かメッセージをいただけますか。

弊社はこれまでも、早い段階でスマートフォンに対応させたサービスを展開してきました。これからも新しい機能、便利なサービスを随時提供していく予定です。まずはANAアプリをインストールしていただいて、触っていただけたらと思います。そして、良かったら飛行機にも乗っていただけると幸いです。

――― 本日はありがとうございました。