厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性が83歳(79.44歳、女性が86.36歳)と、スイスやサンマリノと並んで世界最長。60歳の定年で仕事を辞めたとしても、その先には長い老後が待っています。

そんな老後の生活を支えるために必要なのが年金制度。でも、少子高齢化や不景気といった構造変化に伴う制度設計の矛盾、また「消えた年金」問題に象徴される年金を管轄する役所の不手際など、年金制度の今後の成り行きが不安視されています。

年金だけでは老後の生活を賄えない?

「実は、年金制度は崩壊してるんじゃないの? 」「年金をもらえたとしても、これからの若い世代は大した金額はもらえない」といった声も少なくない中、みなさんは老後の生活設計について、どのように考えているのでしょうか。

マイナビニュースでは、会員の男女500人に公的年金に関する調査を実施。まず、公的年金制度への加入の有無については、全体の8割が加入。企業の雇い止めによる派遣社員やフリーターなどの非正規雇用が増加しているといっても、やはり老後に備えて正社員と同様に、毎月年金保険料を支払っている人たちが多いようです。

Q1:公的年金に加入していますか?(自分で払っている場合、配偶者として加入している場合含む)

Q2:年金への不安はありますか?

とはいえ、実に9割近い人たちが「年金制度に不安を感じている」と回答。具体的な不安の内容についての問い(複数回答可)に対して、「年金を支払っても自分の世代では年金がもらえないのではないか」(78.7% )、「年金を支払っても支給される年齢がどんどん引き上げられていくのではないか」(58.9% )、「年金だけでは生活費が足りないのではないか」(52.2% )といった回答が多くを占めました。

これらの回答から導き出されるのは、年金だけでは老後の生活を賄えないのではないか、という不安です。

年金制度に不安を感じていても6割は備えなし

では、年金が支給される65歳以降の人生で、どれだけの生活費が必要だと考えられているのでしょうか(夫婦2人の毎月の生活費)。一番多かった回答が「20万円以上30万円未満」(47.0% )。老後の人生を楽しむという意味では、たまには美味しい食事や旅行を楽しんだりしたいでしょうから、そのくらいは必要かもしれません。続いて多かったのが「10万円以上20万円未満」(30.2% )という、贅沢はせずとも不安のない生活を送りたい、というところでしょうか。

Q3:65歳以降、生活費として夫婦ふたりで生活する場合、あなたなら毎月どのくらいの金額が必要だと思いますか?

しかし、こうした生活費を年金だけで賄うのは、将来的には不安がつきまといます。にもかかわらず、約6割が「公的年金以外の備えはない」と回答。これでは老後の生活もままなりません。

「備えている」と回答した残りの4割は、投資による老後のための資産形成を行っているわけですが、その8割が「主に国内投資」と回答。国内投資と海外投資を行いつつも、「どちらかというと国内投資が多い」という回答と合わせると、9割の人たちが国内への投資を行っているようです。

しかし、「株は、アベノミクスでトントンといったところ。勉強にしかなっていない」(男性50歳代/電機)、「やってみたが、特に何も変わらない」(女性40歳/ソフトウェア)、「まだ元本割れしていない」(女性30歳/情報・IT)、「ないよりあるほうがいい」(男性46歳/医療・福祉)、「国内株に投資したが、民主党政権下ですべて赤字に」(男性50歳代/機械・精密機器)といった具合に、投資効果という点では微妙なところ。

他の回答を見る限りでも、「心配だから、とりあえずやってみた」という声が多く、高リターンを目指して、戦略的に投資を行っている層は少ないようです。

国内にはない高パフォーマンスが魅力の海外投資

一方、少数派だった海外投資を行っている人たちに目を向けると、「外貨預金ですが、順調に増えています」(女性27歳/学校・教育関連)、「短期売買は疲れてしまうので、外貨預金や海外株式に長期で投資しています。資産が増え続けているのでやってよかった」(男性44歳/その他)、「日本経済はダメだから、外貨預金で資産を増やしています」(女性30歳/ソフトウェア)と、こちらはポジティブな回答が目立ちます。

ちなみに、海外投資を行っている人たちの中で一番多かった投資手法が「外貨預金」(69.2% )。現在は、日本経済の弱体化やアベノミクスで円安方向に振れているだけに、「とりあえずドル建てで持っておけば安心」といったところでしょうか。また、ほぼゼロ金利の日本の金融機関に比べて、海外の金融機関は預金金利も高いのです。

続いて、多かったのが「海外投資信託」(30.8% )。「国内投資信託にはない高いリターンが魅力」(男性28歳/運輸・倉庫)という回答にもあるように近年、高リターンで中リスクの海外投信が注目を集めています。海外投信は、投資の売買・利益にかかる税金が非課税だったり、税率の低くい国や地域で運営することで、余計な税金がかからないため、手数料などが低コストで投資できるのが魅力。また、日本比べて海外は規制が少ないため、商品設計が柔軟になされており、中には国内投信ではあり得ないような高リターンなものも。例えば、国内投信で年率5% のリターンを超えるものはごくわずかですが、海外投信には20% を超えるものもあります。

そう考えると、こと金融投資に関していえば、日本のものだけでなく海外のものもかなり魅力的と言えそう。ただ、難点は開示情報が少なく、個人として海外の高パフォーマンスの投資商品にアクセスするのが難しいこと。ただ、最近では海外の投資商品と個人をダイレクトにつないでくれる投資助言業者のような存在もあります。老後に備えた資産形成に、海外投資を視野に入れてもいいかもしれませんね。

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