説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「ヘッドホンによって音量が変わるのはなぜ?」という質問に答えます。

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音量が同じ位置にもかかわらず、つなげるヘッドフォン/イヤフォン(以下、ヘッドフォン)によって聞こえる音の大きさが変わることがあります。これはiPhoneにかぎらず、他のスマートフォンやポータブルオーディオなど、ヘッドフォンを利用する多くのオーディオ機器に共通の現象です。

ヘッドフォンから出る音の大きさは、「音圧感度」(単位:デシベル)と「インピーダンス」(単位:オーム)という2つの項目から推定できます。製品によってまちまちですが、音圧感度は90~110デシベルあたり、インピーダンスは16~60オームあたりが一般的です。

ヘッドフォンのスペック表でいうところの音圧感度は、1mWの音を入力したときの1kHzの再生音の強さを意味します。音量が同じ場合、その数値が大きいほど大音量を得ることができます。一方のインピーダンスは、1キロヘルツの音を出力しているときのスピーカーの電気抵抗の大きさを意味します。

音圧感度とインピーダンスは相関関係にあります。音圧が一定の場合、インピーダンスの値が大きいほど電流が減って音量は小さくなり、小さくなるほど電流が増えて音量は大きくなります。そしてインピーダンスが半分になると3デシベル音圧は増加します。例えば、音圧感度100デシベル/インピーダンス50オームのヘッドホンと、97デシベル/25オームのヘッドホンの音量は理論的には等しくなります。

iPhoneで再生する音は、内蔵の小型アンプで増幅されヘッドフォン端子から出力されますが、専用オーディオ機器と比較して高出力とはいえません。ヘッドフォンのインピーダンスがあまりに小さいと、iPhone側に絶えず高負荷がかかり、音が歪むなどのトラブルを招きます。反対にインピーダンスがあまりに大きいと、iPhoneに内蔵のアンプの駆動力では不足してしまい音が出ません。大型高級機の場合、ノイズ対策など音質上の理由からインピーダンスが大きめに設計されていることが多いため、ヘッドフォンアンプを利用しなければじゅうぶんな音量は得られないでしょう。

写真で解説

ヘッドフォンから出る音の大きさは、インピーダンスと音圧感度から推定できます。この2つの製品は、インピーダンスと音圧感度はそれぞれ異なりますが、聞こえる音の大きさはほぼ同じです